示談成立率
刑事事件の加害者となってしまい、弁護士に示談の依頼を考えるとき。
一番気になるのは
「この弁護士はどの程度示談交渉を得意としているのか」
ということのはずです。
その判断材料となり得るものはいくつかあります。
専門性、過去の依頼者のクチコミ、法律相談での弁護士のトーク技術等。
これらの中で最も参考となるのは「その弁護士の過去の実績」でしょう。
この記事を作成している時点(2026年8月)において、士道法律事務所の過去の刑事事件の示談交渉の解決事案の数値は以下のようになっています。
| 示談の成否が判明している事案 |
403件 |
| 示談が成立した事案 |
300件 |
| 示談が成立しなかった事案 |
103件 |
単純にこれをパーセンテージに置き換えると以下のようになります。
| 示談成立 |
約74.4%(300件/403件) |
| 示談不成立 |
約25.6%(103件/403件) |
一概に
「示談が成立しなかった事案」
といっても、
「なぜその事案では示談が成立しなかったのか」
という原因、理由の部分はそれなりに大事であろうと思います。
ここで、この「示談が成立しなかった事案」の中には、
「弁護士が被害者と話をすることすらできなかった事案」
例えば、
「盗撮事件で警察でも被害者の身元を特定できなかった」
「被害者が連絡先の開示を拒否して交渉自体不可だった」
といったケースが含まれています。
もちろん、交渉自体を拒否した被害者をそれなりの確率で翻意させて交渉可能な状態とする手立てもありますし、そこから示談成立に持っていったケースもいくつかありはしますが。
弁護士の能力と無関係なところで示談不成立となったものを含めてしまうと、弁護士の正確な能力は測れません。
そこで、上記データに「弁護士が被害者と話ができたケース」という絞り込みを加えると以下のようになります。
| 交渉自体を開始できた事案 |
330件 |
| 示談が成立した事案 |
295件 |
| 被害者と話ができて示談が成立しなかった事案 |
35件 |
これをパーセンテージに置き換えると以下のようになります。
| 示談成立 |
約89.4%(295件/330件) |
| 示談不成立 |
約10.6%(35件/330件) |
士道法律事務所では被害者と話をすることさえできれば9割弱程度の事案で示談をまとめてきているということです。
ただし、これは
「これから依頼しようとしているあなたのケースも75%とか90%とかの確率で示談をまとめられますよ」
という話ではありません。
単に過去の解決事例を統計データとしてまとめたらこうなった、というだけの話です。
示談交渉を開始できるか否かは被害者の性格や価値観その他の事情で大きく左右され、ハッキリ言ってしまえば最初から無理な事案はどんな優秀な弁護士が対応しても無理です。
また、示談交渉を開始できたとしても、被害者が相場を逸脱した過大な要求をしてくれば弁護士の方で示談の話を蹴って終わらせることもあります。
あくまで参考資料の一つでしかありませんが、士道法律事務所の過去の示談成立率は統計データ上このようになっている、ということです。
示談交渉の進め方
刑事事件の加害者の弁護人として被害者とどのように示談の話を進めていくか。
警察や検察から被害者の連絡先が開示されるとき、その連絡先は基本的に被害者本人か配偶者または親の電話番号です。
つまり、電話をかけるところからスタートします。
弁護士から被害者に電話をかけたとして、どんな風に話をするか。
「加害者は示談を希望しています。これこれの条件で示談してください」
用件、結論部分はこれで決まっています。
だからと言っていきなりこちらの用件をぶつけてもうまく行くはずがありません。
どういう順番で、何を、どのように伝えるか。
この経路や手段の部分をどれだけ深く考えているかで示談の成否は大きく変わってきます。
どんな事案でも100%確実に示談をまとめられる方法というものは存在しません。
けれども、7~8割の事案でまず間違いなく示談をまとめられる手法は存在します。
士道法律事務所はこの手法を取り入れています。
だから前述の高い割合で示談をまとめることができています。
刑事事件の示談交渉ではランダムな相手方が抽出されるわけではありません。
まず、「加害者」と「被害者」という固定化された関係性が必ず存在しています。
次に、罪名ごとに行為態様は法律でほぼ決められています。
加害者・被害者の属性も偏重しています。
例えば「性的姿態等撮影(盗撮)」であれば、
・被害者は99%が女性
・4分の3は成人女性で4分の1は女子中高生
・ごく稀に女子小学生が含まれる
・8割方が公共施設でのスマホによるスカート内盗撮
・2割が更衣室、浴室、トイレ、風俗店でのスマホまたは小型カメラによる裸体等の盗撮
・交渉窓口は被害者が未成年ならほぼ100%が親
・父親が出てくる確率は30%程度
・母親が出てくる確率は70%程度
・被害者が成人であれば約9割が被害者本人による対応
・約1割が親または夫による対応
こういった偏りが400件を超える実際の刑事事件の示談交渉事例から統計データとして浮かび上がってきます。
事件に一定の偏り、共通項が存在しているということは、被害者の価値観や思考の方式にも一定の傾向がみられるということです。
これを丁寧に読み解いて、
「どういう話の持っていき方をすれば被害者を傷つけたり怒らせたりすることなくこちらの用件を正しく伝えることができるだろうか」
ということをしっかり考えれば、
「安定してスムーズに話を進められる汎用的な話の手順や話法」
が見えてきます。
士道法律事務所ではこの手順や話法を全ての示談交渉のベースに据えています。
だから、よほどイレギュラーな被害者に当たらない限り、話をすることさえできれば9割程度の事案で示談を取りまとめることができているのです。
この手法はFBIの犯罪捜査や人質事件で行われているネゴシエーターによる交渉術とも共通する部分が多く、「行動変容の段階モデル」と呼ばれています。
- まずはアクティブリスニング(積極的傾聴)から
- 共感を示して信頼関係を構築する
- 信頼に基づいて相手方の考えに働きかけを行う
- 被害者の方からの自発的な行動変容を促す
士道法律事務所で行っている示談交渉では被害者の方から
「いや、弁護士さんが悪いことしたわけじゃないからこんなん言っても仕方ないですけどね」
「弁護士から連絡が来るって聞いて身構えてましたけどお話できて本当によかったです」
と言われることがよくあります。
かなり重めの性犯罪事案で被害者のお母さんと話をして、途中から雑談で盛り上がったり娘さんの進路について相談されたりして、笑い合いながら示談をまとめたこともあります。
かつて被害者として示談交渉をした相手方が全く別の事件で加害者となったときに
「前に示談の話をいただいたときの対応がとても良かったので」
と示談交渉を依頼してきたこともあります。
とても信じられない話かもしれませんが、士道法律事務所ではこのように被害者の共感を得てしっかりと打ち解けて、しかし締めるところは締めるという形で示談を取りまとめています。
交渉自体を拒否されたら
相手方が
「示談とか結構です。厳罰を希望します」
といって連絡先の開示自体を拒んだ場合。
この場合は基本的に示談のしようがありません。
ほとんどの事案はよく知らない相手に対する突発的な犯行なので、相手方が交渉自体を拒否して連絡先を開示しないのであれば連絡を取る術がなく、連絡が取れないなら説得もできないからです。
たまたま相手方の住所や電話番号を知っているという場合には、相手方の家に押しかけたり何度も電話をかけたりして
「とりあえず話だけでも! 1回、ちょっと話すだけでいいので!」
と頼み込んで相手方の根負けを狙うという手もありはしますが。
士道法律事務所ではこういったことは行っておらず、推奨もしていません。
それは、
「(少なくとも今は)示談とか事件についての話をしたくない」
という被害者の気持ちを真正面から踏みにじる行為に等しいからです。
もっとも、相手方が一度示談交渉を拒否したらそれでおしまい、というわけではありません。
士道法律事務所には多数の解決事例が存在するので、
「こういう事案、こういう状況で、こういう断られ方をした場合、適切なタイミングでこういう手法で再打診を要請したらそこそこの確率で相手方が翻意して交渉が可能になる」
という手法も用意しています。
この手法を使うことで、最初は交渉自体を拒否していた相手方と話をすることができるようになり、きちんと話をしていって最終的に示談を取りまとめたというケースも複数存在します。
ただ、どの事案のどういう場合でも使える手というわけではありません。
交渉可能になる割合も決して高いとは言えないので(大体20%程度)、過度の期待は寄せず、交渉自体が不可となれば示談不成立を前提とした次の手を講じることをお勧めします。