示談について

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示談とは

示談の意味と効果

示談の意味と効果

示談とは簡単に言うと、
「被害者に謝罪し、金銭賠償その他の約束を取り決めて赦しを得る手続」
となります。

被害者がいなければ示談のしようがないので、薬物事犯や通貨偽造のように被害者が存在しない事案では示談はできません。

また、罪を認めて謝罪することになるので、加害者が犯行を認めていなければ示談の前提を欠くこととなります(不同意性交等における同意の有無の認識が問題となるケースや、泥酔して犯行態様を明確に記憶していないケース等の例外はありますが)。
「犯罪となる行為は行っていない」
と主張するのであれば示談ではなく無実・無罪を争っていくべきとなります。

示談の主な効果は
①刑事手続で有利な処分を得るための材料となる
②民事上の損害賠償等の紛争を解決・終結させる
この二点です。

示談が起訴・不起訴に与える影響

検察官はその事件に関する全ての事情を考慮して起訴か不起訴かを決めます。

罪名や犯行態様、被害の程度は当然として、

  • 犯行に至る経緯(なぜ犯行に及んだか、被害者の先行行為の有無等)
  • 犯行後の被疑者の行動(逃走したか、犯行を一旦否認していたか等)
  • 取調べにおける態度(罪を認めているか、反省の様子が窺えるか等)
  • 証拠の有無や内容(有罪判決を得るための固い証拠が十分あるか等)
  • 贖罪のための行動(示談の成否や贖罪寄付の有無、再犯防止措置等)
  • 既に受けたペナルティ(勤務先を解雇された、学校で処分された等)
  • 被疑者の属性(年齢性別、社会的地位、前科が資格に与える影響等)
  • 前科前歴の有無や内容(過去に犯罪歴があるか、その内容や処分等)

あらゆる事情が考慮対象となります。

起訴か不起訴かを決める材料には、

「今さらどうしようもないもの」
「今からでも何とかできるもの」

「価値や影響力の大きいもの」
「価値や影響力の小さいもの」

の差異が存在します。

「今からでも何とかできるもの」「価値や影響力の大きいもの」、その最たるものが
「被害者との示談」
となります。

ただし「示談」なら何でもいいというわけではありません。
示談の内容等によっても不起訴に与える影響の差が出てきます。

  • 宥恕文言の有無
  • 示談金の額
  • その他の取り決め等

こういった細部にまでしっかりと気を配った、
「必要な条項を備えた適切な内容の示談」
でなければ不起訴に向けたプラス効果を最大化することができません。

示談における重要ポイント

示談は刑事処分の決定前に

なぜ加害者は多額の費用を負担して被害者と示談をまとめようとするのか。
それは
「被害者に対してきちんと謝罪と償いをしたい」
という思いだけでなく多くの場合は
「示談することで処分や刑罰の軽減を求めたい」
というのが最大の動機となります。

では起訴か不起訴かの処分が決まった「後」の時点においてこの動機はどうなるか。

例えば示談していない状態で加害者が「起訴」されたとしましょう。
この場合、加害者は
「起訴されたなら今さら示談しても無意味だし、示談なんかやめておこう」
こう考えます。

一方示談していない状態で加害者が「不起訴」となったら。
この場合、加害者は
「不起訴になったならもう一安心、わざわざお金払うのはやめておこう」
こう考えます。

つまり、起訴であれ不起訴であれ、処分が決まれば示談に向けた加害者の積極的な動機は大きく減退するということです。
刑事事件の処分が決まる「前」で、加害者から示談の申出があるとき。
これが被害者側にとって示談を成立させる最善のタイミングであり、これを逃すと示談、というより被害者に生じた損害を回復させることが極めて困難になります。

被害者側の損害の回復

犯罪被害に遭った被害者には様々な損害が発生します。

怪我をして通院治療費がかかった。
事情聴取の対応で仕事を欠勤した。
嫌な思いや辛い気持ちを味わった。

何もせずにこれらの損害が勝手に補填されることはありません。
損害を回復させる手段は大別して二つ。

一つは被害者による積極的な回収
交渉や民事裁判で損害賠償を求めるというやり方で、これが法の定める原則となります。

犯罪被害に遭ったときに
「損害賠償請求してやる!」
と息巻く被害者は一定数いるのですが、それにどのくらいの手間と時間と費用がかかるかのイメージができている人はほとんどいません。

どうやって加害者の住所氏名を特定するのか。
訴状や準備書面、証拠の用意をどうするのか。
判決後に加害者が払わなければどうするのか。
弁護士に依頼したらいくら費用がかかるのか。
弁護士費用を払って手元に残る額はいくらか。
終結までどれだけの時間と手間がかかるのか。

コスパ・タイパが悪すぎて被害者からの民事上の請求は現実的とは言えません。
そこで出てくるのが現実的な二つ目の手段。
加害者からの示談に応じることです。

前項で述べたとおり、刑事事件の手続が進行している最中、殊に起訴か不起訴かが決まる前の時点において加害者は積極的に被害者と示談したいと考えます。
示談の申出があったときにこれに乗っかれば。
加害者側の弁護士とせいぜい30分とか1時間とか電話で話をして、ある程度納得できそうなところまで条件を詰めて、示談書(合意書)に署名押印する
たったこれだけのことで、
簡単に、
確実に、
短期間で、
特に費用もかけず、
被害者は損害を回復することが可能になります。
特に争い事に日常的に関わっている弁護士の視点からすると、この利点の大きさは無視できません。

士道法律事務所は加害者側の示談交渉を行う弁護士の事務所です。
しかし、犯行により被害者に生じた損害は加害者が負担するのが当然だと考えていますし、可能な限り被害者側の負担がないようにするのが人の道理であると考えています。
士道法律事務所ではこのような視点からも示談交渉に取り組んでいます。

示談で被害者が得るもの

示談金(解決金、慰謝料)

示談で当事者が最も高い関心を寄せるのが「お金」です。
慰謝料、損害賠償金、解決金、呼び名はいくつかあれど中身は何も変わりません。

  • いくらを支払うのか
  • いつどのように支払うのか

示談ではこれらを取り決めて示談書に記載します。
後日支払いが履行されたらそのお金は被害者が得たものとなります。

接触禁止等の誓約

示談で取り決めるのは示談金(解決金)のことだけではありません。
金銭の支払い以外に色んな約束を取り決めることが可能です。

  • 加害者が被害者に接近接触しないこと
  • 加害者が特定エリアに立ち入らないこと
  • 盗撮画像を流出させないことの誓約

示談書にこれらの条項を入れることで被害者が得るのは
「精神的な安心」
です。
これらは目には見えるものではありませんが、被害者が少しでも以前の平穏を取り戻すためにとても重要なものであると言えます。

加害者への確実なペナルティ

示談が成立しなかったからと言って加害者が確実に起訴されるとは限りません。
示談不成立でも不起訴となるケースはいくらでもあるのです。

士道法律事務所は刑事示談交渉に特化した弁護士の事務所なので、
「この罪名、この犯行態様で、こういう状況。相手方(被害者)との示談交渉においてこんな経過を辿った場合、こういう措置を講じて意見書で報告すればこの事件は高確率で不起訴になる」
ということを統計的に把握しています。
現実の数字の話として、士道法律事務所の単純な示談成立率(示談が成立した件数/全受任件数)75%
視点を変えると示談が成立しなかった事案が全体で
約25%
存在することになります。

しかし、この「示談が成立しなかった25%」も示談以外の次の手を打つことによって、
うち5~6割程度
最終的に不起訴または刑事事件化せずに終結しています。

つまり、
「被害者が厳罰を期待して示談の話を蹴ったとしても結構高い確率で不起訴になる」
ということであり、
「実質的に加害者がノーペナルティで終わる」
「一方で被害者は何も得るものがなく終わる」
ということを意味します。

ではそういったケースで示談に応じていたらどうなるか
示談してもしなくても「不起訴」という処分は変わりません。
けれどもこの場合には
「加害者に示談金の支払いという確実な確実なペナルティを与えることができた」
という結果が残ります。

被害者自身の区切り

刑事事件の被害に遭ったことをいつまでも引きずり続けてしまう被害者もいます。

示談に応じた被害者で
「たくさん示談金もらえてよかった!」
という人はまずいません。
心から赦した、完全に納得できた、ということはなくともそれを心の内に飲み込んで
「示談ということでよい」
と自身の心を収めるのです。

葛藤、後悔、苦悩、不安。
そういった負の感情は元の平穏な生活に戻るための障害となります。

示談せずとも自分の中でスパッと区切りをつけてしまえる人であれば問題ありません。
しかし、示談に応じなかったときに事件のことをいつまでも引きずってしまう被害者もいます。
その人の中ではいつまでも終わりがなく、ふとした瞬間に事件を思い出してネガティブな感情に支配されてしまうこともあるでしょう。
それはある種の呪いとも言えます。

しかし、
「加害者との示談に応じる」
という結論を下した人は、
「あの事件は終わったんだ。自分でちゃんと終わらせたんだ」
という区切りを自身の手でつけることができます。

形式の区切りというものは案外馬鹿に出来ません。
こういった説明をすることで、それまで示談をするかどうかを迷っていた被害者が
「確かに。そう言われて腑に落ちました」
と示談に応じれくれたことも過去に何度かあります。

示談は加害者のためだけのものではなく、被害者のためのものでもあるのです。

弁護士による示談交渉

被害者は加害者を忌避する

示談交渉を行う現実的な手段は基本的に二つしかありません。

「対面で直接話をする」
または
「電話をかける」
この二つです。

もちろんメール、LINE、手紙とかの手段も理論上は存在しますし、被害者側でこれらの連絡手段を希望してくる人もいます。
いますが圧倒的少数、ごくまれなケースであり、普通は「会って話す」「電話する」の二択です。

ここで、自分が痴漢や盗撮、児童買春や不同意性交等の性犯罪、万引きや置き引きといった窃盗系の財産犯、駅や居酒屋でのトラブルから暴力を振るわれた暴行・傷害の粗暴犯の被害者になったと想像してみてください。
その上で、「加害者である犯人と直接顔を突き合わせて示談の話をしてみてもいい」などと思えるでしょうか?
この問いに「話してみてもいいと思う」と答えた方は被害者の気持ちを全く理解できていないという証左ですので、直ちに猛省してください。

被害者から見た加害者というものは、単によく知らない相手、あるいは事件前からの知り合いというわけではありません。
自分に対してわいせつ行為をしてきた、物を盗んだ、暴力を振るってきた。
そういう違法な行為をしてきた、全く信用のおけない存在に成り下がっているわけです。
そのような人間と直接顔を突き合わせて示談の話をしようという豪胆で物好きな人間はそうそういません。

では電話はどうか。
現代社会において電話番号(携帯電話番号)というのは、個人に直接アクセスしたり会員登録等で個人を特定するための重要なツールであり、個人情報の一つと考えられています。

加害者と電話で直接話をするということは、この重要な個人情報を全く信用のおけない人間である加害者に開示するということを意味します。

「じゃあ非通知で電話すれば?」
非通知設定にするということは、加害者から被害者に電話をかけることができず、常に被害者から加害者に電話をかけなければならないということです。
細かい話かもしれませんが、被害者の方が
「何でこっちが毎回通話料を負担して話したくない相手と話をしないといけないのか」
となることは想像に難くありません。

士道法律事務所では、捜査機関を通じて被害者との示談交渉希望を打診する際に、
「開示された被害者の連絡先は弁護士限りに留めており、加害者本人やその家族に開示することは一切ありませんので、その点はご安心ください」
という一文を必ず入れています。

そして捜査機関から被害者の連絡先が開示される際、かなりの頻度で警察官や検察官から
「被害者の名前や電話番号は弁護士だけに伝えるということで被害者の了承を得ているので、加害者本人には被害者の連絡先等を絶対に教えないでほしい」
と念押しされます。

被害者の個人情報は、ここまで気を遣って、弁護士という職種の信用性があってやっと開示されるものなので、加害者本人やその家族による示談交渉は普通は無理と考えてもらって結構です。

交渉過程における注意点

たまたま被害者が自身の個人情報に無頓着な性格の人で、被害者の電話番号が開示され、運良く加害者本人やその家族が被害者と示談の話を開始できたとしましょう。

どんな口調で、どういう順番で、何について、どのように話を進めていきますか?

示談というものを軽く見ている人は一定数存在します。
「殊勝な態度で、まずは謝って、反省を示して、お金を払うと言えばいいんでしょ?」

示談交渉はそんなぬるいものではありません

  • 事案ごとに被害者の心理や感情をどう読むか
  • 何をどう話せば被害者の怒りを避けられるか
  • 被害者のタイプ別に最適解の口調や話し方は

こういった示談交渉への理解の深さ、交渉術の幅の広さによって示談の精度や成功率には格段の差が出てきます

不起訴に有効に働く条項

奇跡的に幸運が重なり合って交渉を開始できて、たまたま穏やかで物分かりのよい被害者で、示談をまとめる方向で話がつきそうになったとしましょう。

どんな内容の示談を取りまとめますか?

示談はただ単にお金を払う約束をしてそのとおりに払えばよいというものではありません。
加害者にとって有利に働く条項として、宥恕文言だとか債権債務不存在条項といったものがあります。
これらの条項が入っていなければ、

  • 示談したのに効果不十分で起訴された
  • 示談後に被害者から追加請求を受けた

こういった事態が発生することがあります。

実際、士道法律事務所に持ち込まれた過去の事例でも
加害者が独断で勝手な示談を取りまとめ、その示談の条項に不備があって後になってから『何とかしてください』と泣きついてきた
というケースがいくつか存在しています。

また、加害者側に有利っぽい条項を何でもかんでも入れておけばいいというわけではありません。
被害者の方でも
「加害者はこういう条項を欲しがっている」
ということをネットで調べたり弁護士に相談したりして把握していて、
「宥恕文言を入れてほしかったらもっと金額を積み上げろ」
と言ってくることがあります。

宥恕文言の有無がその事案においてどのくらい重要なのか、どの程度の意味を持つのか。
刑事示談交渉の経験が豊富な弁護士であればこの程度は把握していますし、何なら弁護士から検察官に宥恕文言の要否を直接問いかけることもあります。

事案によっては債権債務不存在条項を入れない方が示談がまとまりやすく、後で現実的な問題が起きる可能性も低いので、無理に債権債務不存在条項を入れないとすることもあります。

示談金(解決金)についても、被害者がOKと言えばどんな金額であっても不起訴に向けた最大の効果を発揮するというわけではありません。
金額が低すぎると検察官が
「この金額ではペナルティとして不十分。示談成立は一定程度評価するとしてももう少し罰を与えてないとバランスが取れない」
と考えて起訴することもあります。

その事案ではどんな示談が必要十分なのか。
相手方の対応からどこを落とし所とするか。
こういうことを正確に見極めるのは刑事事件の示談交渉の取扱いに長けた弁護士の関与が必須となります。

士道法律事務所の示談交渉

示談成立率

刑事事件の加害者となってしまい、弁護士に示談の依頼を考えるとき。
一番気になるのは
「この弁護士はどの程度示談交渉を得意としているのか」
ということのはずです。

その判断材料となり得るものはいくつかあります。
専門性、過去の依頼者のクチコミ、法律相談での弁護士のトーク技術等。
これらの中で最も参考となるのは「その弁護士の過去の実績」でしょう。

この記事を作成している時点(2026年8月)において、士道法律事務所の過去の刑事事件の示談交渉の解決事案の数値は以下のようになっています。

示談の成否が判明している事案 403件
示談が成立した事案 300件
示談が成立しなかった事案 103件

単純にこれをパーセンテージに置き換えると以下のようになります。

示談成立 約74.4%(300件/403件)
示談不成立 約25.6%(103件/403件)

一概に
「示談が成立しなかった事案」
といっても、
「なぜその事案では示談が成立しなかったのか」
という原因、理由の部分はそれなりに大事であろうと思います。

ここで、この「示談が成立しなかった事案」の中には、
「弁護士が被害者と話をすることすらできなかった事案」
例えば、
「盗撮事件で警察でも被害者の身元を特定できなかった」
「被害者が連絡先の開示を拒否して交渉自体不可だった」
といったケースが含まれています。
もちろん、交渉自体を拒否した被害者をそれなりの確率で翻意させて交渉可能な状態とする手立てもありますし、そこから示談成立に持っていったケースもいくつかありはしますが。
弁護士の能力と無関係なところで示談不成立となったものを含めてしまうと、弁護士の正確な能力は測れません。
そこで、上記データに「弁護士が被害者と話ができたケース」という絞り込みを加えると以下のようになります。

交渉自体を開始できた事案 330件
示談が成立した事案 295件
被害者と話ができて示談が成立しなかった事案 35件

これをパーセンテージに置き換えると以下のようになります。

示談成立 約89.4%(295件/330件)
示談不成立 約10.6%(35件/330件)

士道法律事務所では被害者と話をすることさえできれば9割弱程度の事案で示談をまとめてきているということです。

ただし、これは
「これから依頼しようとしているあなたのケースも75%とか90%とかの確率で示談をまとめられますよ」
という話ではありません。
単に過去の解決事例を統計データとしてまとめたらこうなった、というだけの話です。
示談交渉を開始できるか否かは被害者の性格や価値観その他の事情で大きく左右され、ハッキリ言ってしまえば最初から無理な事案はどんな優秀な弁護士が対応しても無理です。
また、示談交渉を開始できたとしても、被害者が相場を逸脱した過大な要求をしてくれば弁護士の方で示談の話を蹴って終わらせることもあります。

あくまで参考資料の一つでしかありませんが、士道法律事務所の過去の示談成立率は統計データ上このようになっている、ということです。

示談交渉の進め方

刑事事件の加害者の弁護人として被害者とどのように示談の話を進めていくか。
警察や検察から被害者の連絡先が開示されるとき、その連絡先は基本的に被害者本人か配偶者または親の電話番号です。
つまり、電話をかけるところからスタートします。

弁護士から被害者に電話をかけたとして、どんな風に話をするか。

「加害者は示談を希望しています。これこれの条件で示談してください」
用件、結論部分はこれで決まっています。
だからと言っていきなりこちらの用件をぶつけてもうまく行くはずがありません。

どういう順番で、何を、どのように伝えるか。
この経路や手段の部分をどれだけ深く考えているかで示談の成否は大きく変わってきます

どんな事案でも100%確実に示談をまとめられる方法というものは存在しません。
けれども、7~8割の事案でまず間違いなく示談をまとめられる手法は存在します。
士道法律事務所はこの手法を取り入れています。
だから前述の高い割合で示談をまとめることができています。

刑事事件の示談交渉ではランダムな相手方が抽出されるわけではありません。

まず、「加害者」と「被害者」という固定化された関係性が必ず存在しています。

次に、罪名ごとに行為態様は法律でほぼ決められています。
加害者・被害者の属性も偏重しています。

例えば「性的姿態等撮影(盗撮)」であれば、
・被害者は99%が女性
・4分の3は成人女性で4分の1は女子中高生
・ごく稀に女子小学生が含まれる
・8割方が公共施設でのスマホによるスカート内盗撮
・2割が更衣室、浴室、トイレ、風俗店でのスマホまたは小型カメラによる裸体等の盗撮
・交渉窓口は被害者が未成年ならほぼ100%が親
・父親が出てくる確率は30%程度
・母親が出てくる確率は70%程度
・被害者が成人であれば約9割が被害者本人による対応
・約1割が親または夫による対応
こういった偏りが400件を超える実際の刑事事件の示談交渉事例から統計データとして浮かび上がってきます。

事件に一定の偏り、共通項が存在しているということは、被害者の価値観や思考の方式にも一定の傾向がみられるということです。

これを丁寧に読み解いて、
「どういう話の持っていき方をすれば被害者を傷つけたり怒らせたりすることなくこちらの用件を正しく伝えることができるだろうか」
ということをしっかり考えれば、
「安定してスムーズに話を進められる汎用的な話の手順や話法」
が見えてきます。

士道法律事務所ではこの手順や話法を全ての示談交渉のベースに据えています。
だから、よほどイレギュラーな被害者に当たらない限り、話をすることさえできれば9割程度の事案で示談を取りまとめることができているのです。

この手法はFBIの犯罪捜査や人質事件で行われているネゴシエーターによる交渉術とも共通する部分が多く、「行動変容の段階モデル」と呼ばれています。

  • まずはアクティブリスニング(積極的傾聴)から
  • 共感を示して信頼関係を構築する
  • 信頼に基づいて相手方の考えに働きかけを行う
  • 被害者の方からの自発的な行動変容を促す

士道法律事務所で行っている示談交渉では被害者の方から
「いや、弁護士さんが悪いことしたわけじゃないからこんなん言っても仕方ないですけどね」
「弁護士から連絡が来るって聞いて身構えてましたけどお話できて本当によかったです」
と言われることがよくあります。

かなり重めの性犯罪事案で被害者のお母さんと話をして、途中から雑談で盛り上がったり娘さんの進路について相談されたりして、笑い合いながら示談をまとめたこともあります。

かつて被害者として示談交渉をした相手方が全く別の事件で加害者となったときに
「前に示談の話をいただいたときの対応がとても良かったので」
と示談交渉を依頼してきたこともあります。

とても信じられない話かもしれませんが、士道法律事務所ではこのように被害者の共感を得てしっかりと打ち解けて、しかし締めるところは締めるという形で示談を取りまとめています

交渉自体を拒否されたら

交渉自体を拒否されたら

相手方が
「示談とか結構です。厳罰を希望します」
といって連絡先の開示自体を拒んだ場合。

この場合は基本的に示談のしようがありません。
ほとんどの事案はよく知らない相手に対する突発的な犯行なので、相手方が交渉自体を拒否して連絡先を開示しないのであれば連絡を取る術がなく、連絡が取れないなら説得もできないからです。

たまたま相手方の住所や電話番号を知っているという場合には、相手方の家に押しかけたり何度も電話をかけたりして
「とりあえず話だけでも! 1回、ちょっと話すだけでいいので!」
と頼み込んで相手方の根負けを狙うという手もありはしますが。
士道法律事務所ではこういったことは行っておらず、推奨もしていません
それは、
「(少なくとも今は)示談とか事件についての話をしたくない」
という被害者の気持ちを真正面から踏みにじる行為に等しいからです。

もっとも、相手方が一度示談交渉を拒否したらそれでおしまい、というわけではありません。

士道法律事務所には多数の解決事例が存在するので、
「こういう事案、こういう状況で、こういう断られ方をした場合、適切なタイミングでこういう手法で再打診を要請したらそこそこの確率で相手方が翻意して交渉が可能になる」
という手法も用意しています。
この手法を使うことで、最初は交渉自体を拒否していた相手方と話をすることができるようになり、きちんと話をしていって最終的に示談を取りまとめたというケースも複数存在します。

ただ、どの事案のどういう場合でも使える手というわけではありません。
交渉可能になる割合も決して高いとは言えないので(大体20%程度)、過度の期待は寄せず、交渉自体が不可となれば示談不成立を前提とした次の手を講じることをお勧めします。

示談が成立しない場合の対応

示談以外の方法で不起訴に

検察官はその事件に関する全ての事情を考慮して刑事事件としての処分を決めます。
示談成立という事実は不起訴に向けてかなり大きいプラスの影響力を有していますが、あくまで考慮要素の一つでしかなく、絶対的なものではありません。
したがって、
「示談成立=不起訴」
ではないし、
「示談不成立=起訴」
でもない、ということになります。

したがって、示談が成立しなかった場合は示談以外の他の要素を積み上げることで不起訴や処分の軽減を目指すこととなります。

ここで検討されるのは【不起訴で前科回避】で挙げているもの、

  • 刑事贖罪寄付
  • 交渉経過等を記載した意見書
  • 特殊な状況下で使える手段

といったものがメインとなります。

ここで気になるのは、これらの示談以外の手法が不起訴に向けて一体どのくらいの効力を発揮しているのか、ということでしょう。

前述のとおり、士道法律事務所の示談成立件数、示談成立率は以下のようになっています。

示談成立 約74.4%(300件/403件)
示談不成立 約25.6%(103件/403件)

この「示談不成立」だった103件のその後の処分内訳は以下のようになっています。

非事件化 約7.7%(8件/103件)
不起訴 約40.8%(42件/103件)
略式起訴 約36.9%(38件/103件)
公判請求 約14.6%(15件/103件)

つまり、示談不成立でも然るべき措置を講じれば半数程度の事案は刑事事件化せずに終わるか不起訴処分、つまり前科が付くことなく終わらせることができている、ということです。

起訴された場合の対応

「示談交渉専門ということは裁判は対応してもらえないんですか?」
といった質問を時折受けることがあります。

この質問に対する回答は
「いいえ」
つまり、
士道法律事務所では起訴された場合の刑事裁判の対応も当然に可能です。

士道法律事務所では受任した刑事事件において片っ端から示談を成立させてしまうので、全体の約75.6%、大体4分の3の事案は不起訴または刑事事件化前の解決となっています。

もっとも、示談が成立させられず公判請求を避けられなかったとか、示談は成立させたけれども被疑者のやった内容が悪過ぎた、前科が多過ぎたとかで公判請求された事案もいくつか存在しています。

これらの公判請求事案は、現時点(2026年8月)において、
33件
存在しています。

ちなみにこの33件を示談の成否で分けると
示談成立で公判請求:15件/33件
示談不成立で公判請求:18件/33件
となります。

これら33件の中には、
「裁判は別の弁護士に任せようと思います」
「費用面から裁判は国選弁護人に頼みます」
といった理由で士道法律事務所で継続対応しなかった事案が7件あります。

残りの26件は
「対応が良かったので刑事裁判も引き続きお願いします」
ということで士道法律事務所で公判も対応しました。
依頼者の要望を受けて控訴審までお付き合いした事案もあります。

士道法律事務所は圧倒的に示談が得意「刑事裁判となる前」に事件を解決してしまうことが多いため、他の刑事事件専門の法律事務所と比較して刑事裁判の対応件数はそこまで多くはありません。
もっとも、依頼者の希望があれば示談交渉・捜査弁護に引き続いて公判弁護の対応も行っており、そちらでも十分な結果を挙げています。

士道法律事務所は
「示談交渉しかしない弁護士」
ではなく、
「刑事裁判まで対応する必要が少ないが、必要となれば最後までお付き合いする弁護士」
の法律事務所ですので、この点はご安心ください。

Q&A

示談金の相場はどのくらいですか?

事件の内容や被害の程度によって大きく異なります。
例えば下着の盗撮で20~50万円、軽微な傷害は30~80万円、窃盗は被害額+α等々。
法律相談の際には事案の内容を伺って過去事例から具体的な目安をご案内しています。

被害者が示談に応じない場合はどうなりますか?

被害者が示談を拒んだ場合でも不起訴処分を実現する方法はあります。
贖罪寄付や意見書は当然として、特定の状況下でのみ使える手もいくつか用意があります。
士道法律事務所では、示談不成立のケースでも約5~6割は他の手段によって不起訴を獲得しています。

示談交渉は自分や家族でもできますか?

現実的にはかなり難しいと言ってよいでしょう。
被害者の多くは加害者本人やその家族との直接の交渉を拒みます。
素人による示談は被害者を怒らせたり、必要な条項を欠いて十分な効果が得られなかったりすることもあるので、示談交渉は弁護士に任せることをお勧めします。

示談成立で必ず不起訴になりますか?

示談の成立は不起訴の判断に大きく影響しますが、必ず不起訴になるとは限りません。
犯行態様や被害の程度、前科の有無など様々な要素が考慮されます。
士道法律事務所では法律相談の時点で、示談の成否で処分がどうなるかの具体的な見込みをお伝えしています。

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:ドライブ、ショッピング、漫画・アニメ
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業
  • 2009年9月 司法試験合格
  • 岐阜において司法修習(新63期)
  • 弁護士法人大江橋法律事務所に入所
  • 2012年7月 士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道を設立
  • 2026年8月 名古屋支部を設立

所属

  • 大阪弁護士会

大阪本部 06-6365-7650

名古屋 052-526-6609

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