不同意性交等
(淫行・児童買春)

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不同意性交等の加害者となったら

不同意性交等の加害者となったら

不同意性交等にはいくつかの類型があり、類型や状況によっては逮捕・勾留されることもあるタイプの犯罪です。
不同意性交等で不起訴を目指すには被害者との示談が最重要となります。

不同意性交等は士道法律事務所の受任事件の中で五番目に件数が多い罪名で、全体の約6.0%を占めます。
過去の解決事例においては、女子中高生にお金を渡すという児童買春(援助交際、パパ活)、アプリその他で知り合った女子中高生と付き合うという形を取っての淫行、ナンパや出会いアプリで知り合った成人女性との性交渉、職場の同僚や以前からの友人である成人女性との性交渉等、様々な犯行態様パターンが網羅されています。
不同意性交等の事案では適切確実な示談の成立が今後の人生を大きく左右してくるので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

不同意性交等の概要

特定の状況下で、他人の同意を得ることなく他人と性交、肛門性交、口腔性交、膣または肛門に陰茎以外の進退の一部や物を挿入すると、不同意性交等の罪に問われることとなります。
「不同意性交等」に似た態様の犯罪として「淫行」「児童買春」が挙げられますが、これは俗称で、同意のない性交や淫行・児童買春を処罰するための法律・罪名は以下の三つです。

  • 青少年保護育成条例違反
  • 不同意性交等
  • 児童ポルノ禁止法違反

元々刑法で定められていたのは「強制性交等」という名称の罪でした。
「強制性交等」という罪名だった時の構成要件は、「暴行または脅迫を用いて、性交、肛門性交、口腔性交をした(13歳未満の相手に対しては手段としての暴行・脅迫がなくても単に性交等をしただけで成立)」というものです。
これが2023年に法改正され、罪名は「不同意性交等」に、構成要件はかなり複雑なものに変化しました。
大雑把に言うと、「いくつかの特定の状況下で、被害者が同意していないのに、性交等をした(被害者が16歳未満で、加害者が5歳以上年長である場合は、特定の状況下でなくても、被害者の同意があったとしても、単に性交等をしただけで成立)」です。

一方、青少年保護育成条例違反(淫行)は不同意性交等とは規定の仕方が異なり、不同意性交等は成立しなくても青少年保護育成条例違反には当たる、ということもあります。

また、被害者が「児童」に当たる場合は、所定の要件を満たすことで児童ポルノ禁止法違反(児童買春)に当てはまってくることもあります。

士道法律事務所に持ち込まれる不同意性交等(淫行・児童買春)の犯行態様は主に以下のものです。

(A)ネット経由で知り合った女子中高生にお金を渡して性交
(B)ネットまたはリアルで知り合った女子中高生と付き合って性交
(C)ネットまたはリアルで知り合った成人女性と性交
(D)風俗店やマッサージ店で風俗嬢、施術者と性交

不同意性交等の約6割が淫行・援助交際・パパ活といった(B)(C)の類型。
約3割が法改正により急増した(C)で、(D)はごく稀に発生します。
どの類型であるかによって加害者と被害者の関係性(初対面の相手か、元からの知り合いか等)、誰が交渉窓口となるか(相手方本人、相手方の親、弁護士)はほぼ決まっており、類型によって示談の難易度等も変化します。

不同意性交等に関するデータ

加害者・被害者の属性

加害者の性別は男性が100%、女性が0%。
被害者の性別は男性が0%、女性が100%。

被害者の約39.1%が18歳未満で、この場合は父親または母親が交渉窓口となります。

交渉拒否率

約22.2%

被害者の連絡先開示がなされず、交渉開始自体が不可能なのは5件に1件程度の割合です。
なお、「被害者が成人(不同意性交等)」と「被害者が18歳未満(不同意性交等・淫行・児童買春)」では交渉拒否率が異なり、
成人:14.3%
18歳未満:約27.3%
「被害者が16歳未満」の場合は交渉を開始できる率がかなり下がります。

示談成立率

約72.2%(交渉可能な事案では約92.9%)

不同意性交等事件全体の示談成立率は約72.2%です。
一方、交渉拒否のパターンを除いて、士道法律事務所の弁護士が相手方と交渉を開始できた場合の示談成立率は約92.9%です。

処分内訳(不起訴率)

非事件化 約14.3%
不起訴 約65.7%
略式 約14.3%
公判 約5.7%

不同意性交等・淫行・児童買春全体で見た場合、刑事事件化する前に終了あるいは不起訴の、「前科が付くことなく終結」の割合は約80%です。
一方、罪名を不同意性交等に限定するとこの「前科が付くことなく終結」の割合が約91%にまで跳ね上がります。

不同意性交等には罰金刑の設定がないため、略式起訴が選択されるのは淫行(青少年保護育成条例違反)と児童買春(児童ポルノ禁止法違反)で処理された場合だけです。

示談成立率と比較してみると、示談成立率は約72.2%であるのに対して非事件化・不起訴率は約80.0%で非事件化・不起訴率の方が高い。
これは
「示談不成立でも不起訴になっているケースが8%程度存在する」
ということを意味します。

不同意わいせつ同様にこの現象の発生原因特定は比較的容易で、

  • 不同意性交等には罰金刑の設定がないから(=略式起訴が選択できない)
  • 不同意性交等の構成要件を複雑にした関係で検察官が起訴を躊躇している

と士道法律事務所では推察しています。

示談の重要性

不同意性交等(淫行・児童買春)は、全体の示談成立率は全罪名平均を若干下回るものの、相手方と話をすることができた場合の示談成立率が高く、「被害者の連絡先が開示されて話をすることさえできれば」比較的示談が成立しやすい類型となっています。
また、成人相手の不同意性交等に限った話ではありますが、「示談不成立でも不起訴に持っていけるケースがそれなりに多い罪名」でもあります。

ただし、だからと言って不同意性交等の示談を甘く見たり、
「示談せずに不起訴になった方がトータルの出費が減るのでは」
と意図的に敢えて示談不成立を目指すのは危険です。

不同意性交等の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」で罰金の設定はなし、素のままでは執行猶予すらつけることができない、かなり重い犯罪です。
略式起訴が取れないということは、示談不成立でも他の手をきちんと講じていけば不起訴がそれなりに望めるということではありますが、
逆に言うと
「検察官が『不起訴にはできないな』と考えたら必ず公判請求になってしまう」
ということを意味します。

不同意性交等の場合、公判請求されたら必要な弁護士費用も跳ね上がりますし、初犯であっても原則として執行猶予はつけてもらえず一発で実刑となります。
不同意性交等(淫行・児童買春)では、示談が成立すればかなり高い確率で不起訴にはなっているので(略式を選択しやすい淫行や児童買春の事案、加害者と被害者の関係性等から犯情が重すぎて公判を回避できなかった事案もありますが)、示談が極めて重要となります。

不同意性交等の固有の特徴

不同意性交等・淫行・児童買春の三類型+αがある

2023年の法改正前は「強制性交等」「淫行(青少年保護育成条例違反)」「児童買春(児童ポルノ禁止法違反)」がそれぞれすみ分けられているイメージが強かったのですが、法改正以降はほとんどのケースが「不同意性交等」で処理され、たまに「淫行(青少年保護育成条例違反)」「児童買春(児童ポルノ禁止法違反)」が適用されることもある、といった形に変化してきています。

不同意性交等には大別すると二つの類型があり、
(A)被害者が成人で、同意の有無(の認識)が問題となるパターン
(B)被害者が16歳未満で同意の有無が問題とならないパターン
が存在します。

刑事事件示談交渉の現場においては、この三類型+αの特徴をどれだけ正確に理解・把握しているかが最終的な結果を予測するにあたり極めて重要となっています。

成人に対する不同意性交等では示談の重要度が低下する

まず、法改正で不同意性交等が創設されたことにより、性交等を伴う事案はほとんどが不同意性交等で立件され、「淫行(青少年保護育成条例違反)」「児童買春(児童ポルノ禁止法違反)」はかなり限定されたケース(例えば被害者が16歳~17歳で、不同意性交等の度の条項にも該当せず、しかし淫行や児童買春の構成要件は満たす場合)でしか適用されないこととなりました。

成人(厳密には16歳以上なので16歳~17歳も含む)を対象とする不同意性交等、すなわち刑法177条1項2項が適用されるための要件はかなりややこしいのですが、重要なポイントとなるのが
「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」
という部分です。

これは法の欠陥ともいうべき問題点ですが、現実にこの要件があることによって成人に対する不同意性交等は起訴されにくくなっています。
このあたりの詳細については、法律相談の際にもう少し踏み込んだところを説明させていただきます。

現実のデータとして、士道法律事務所で取り扱った過去事例において
「罪名:不同意性交等、刑法177条1項2項適用のケース(相手方が16歳以上)」
では、示談が成立していても、成立していなくても
不起訴率:100%(18件/18件中)
です。
不同意性交等はまだ成立して間もないので士道法律事務所に持ち込まれた件数もそこまで多くありませんし、いずれはこの100%という数値も崩れるはずですが、今のところはこのようなデータが出ています。

もっとも、だからと言って「示談しなくても大丈夫」とはなりません。
正しい手順、正しいルートで示談交渉を進めていって、示談不成立で終わったとしても
「なぜ示談が成立しなかったのか」
という交渉経過その他の事情を弁護士作成にかかる「意見書」で検察官にきちんと示す必要があります。

16歳未満に対する不同意性交等は極めてリスクが高い

16歳未満に対する不同意性交等は極めてリスクが高い

一方、16歳未満に対する不同意性交等、すなわち刑法177条3項適用のケースは全くガラッと事情が変わってきます。
被害者が16歳未満で、加害者が被害者より5年以上年長の場合、被害者が性交等に同意していたとしても不同意性交等が成立します。
「被害者が16歳未満」
「加害者が被害者より5年以上年長」
「性交等(性交、肛門性交、口腔性交、膣または肛門に陰茎以外の身体の一部や物を挿入)をした」
これだけ満たせば無条件で成立します。
成人に対する不同意性交等のように、特定の状況下にあることも、同意の有無も、被害者側の何らかの勘違いも、何も要求されていません。
「お互いに好きで真剣に付き合っていた」
とかの言い訳も一切通用せず、問答無用で成立します。

「同意の有無(についての加害者の認識)」といったややこしい要件の充足が必要ないため、起訴に際してのハードルも存在しません。

さらに、示談を希望したとしても、16歳未満の相手は当然未成年なので、示談の話を聞くかどうか、聞いたとして諾否をどうするかを決めるのは基本的に全て親です。
親なので、自分の大事な娘(あるいは息子)が5歳以上年長のどこの誰とも知れない男(あるいは女)に言いくるめられて被害に遭ったと考えると本人以上に怒ります。
そのため、成人に比べて交渉拒否率が跳ね上がります。

運良く交渉を開始できたとして、16歳未満に対する不同意性交等のケースの解決金額は、成人に対する不同意性交等のケースの解決金を大きく上回るのが通常です。
金額にして100~200万円ほど割高となることが珍しくありません。

それでも示談できればかなり運が良い部類となります。
16歳未満に対する不同意性交等の起訴率(公判請求率)は極めて高く、「示談不成立=起訴(公判請求)」と考えて差し支えありません。
加害者と被害者の関係性や犯行態様等によっては、示談が成立していたとしても起訴(公判請求)となります。

公判請求されたということは、被害者側の交渉拒否その他により示談ができなかった、あるいは示談をしたけれど駄目だった、ということを意味します。
そうすると起訴後に打てる有効な手がほとんどないということになります。

判決で執行猶予を付けてもらうには、宣告刑が「3年以下の拘禁刑」であることが最低限必要です。
しかし不同意性交等の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」、つまりそのままの状態ではどう足掻いても執行猶予をつけることができません。
不同意性交等で執行猶予を付けてもらうには「酌量減軽(考慮すべき情状がある場合に裁判官の判断で刑罰を半減させる)」が必須となります。
「酌量減軽」が認められれば宣告刑は「2年6月以上10年以下の拘禁刑」となります。
しかし、酌量減軽をしてもらったとしても言い渡された判決が「3年」を超えていたら執行猶予は絶対に尽きません。
士道法律事務所の過去事例では、16歳未満に対する不同意性交等で公判請求となったパターンにおいて、言い渡された判決は
「4年の拘禁刑(実刑)」が大半を占めています。

このように、16歳未満に対する不同意性交等を犯した場合、何としてでも示談を取りまとめない限り、4年以上の実刑という刑罰が科される可能性が高いということです。

不同意性交等の解決事例

不同意性交等(淫行・児童買春)は当事務所の中でも比較的取り扱いの多い罪名の事案です。
過去の解決事例は

にて紹介していますので、必要に応じてご確認ください。

Q&A

交際相手や配偶者との間でも罪になりますか?

交際関係や婚姻関係があっても、相手方の同意がなければ罪に問われる可能性があります。
2023年の法改正により、関係性にかかわらず「同意のない性交等」が処罰対象となりました。
相手との関係性だけで犯罪の成否が決まるわけではありません。

相手が後から「同意していなかった」と言い出した場合はどうなりますか?

相手方が被害届を出せば、捜査の対象となります。
当時の状況や経緯、やり取りの記録などをもとに、同意の有無が判断されます。
LINEやメールなどのやり取りが証拠として重要になることがあります。ご自身の認識と異なる主張をされた場合は、早めに弁護士にご相談ください。

合意があったと思っていても罪になりますか?

相手方が同意していなかったと主張した場合、罪に問われる可能性があります。
2023年の法改正により、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うすることが困難な状態」での性交等が処罰対象となりました。
自分では合意があったと認識していても、相手方の認識が異なれば、不同意性交等として捜査の対象となることがあります。

不同意性交等の示談金はどのくらいですか?

他の性犯罪と比べて高額になる傾向があります。
事件の内容や被害者の方のお気持ちによって大きく異なりますが、数百万円に及ぶこともあります。

構成要件・刑罰・条文

青少年保護育成条例違反

【刑罰】

2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

【条文】

第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。

一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)第二条第二項に該当するものを除く)

二 青少年に対し、威迫し、欺き、若しくは困惑させることその他の当該青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用い、又は当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為又はわいせつな行為を行うこと。

三 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

大阪府青少年健全育成条例

https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00000487.html

不同意わいせつ

【刑罰】

5年以上の有期拘禁刑

【条文】

第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。

3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

刑法

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

児童ポルノ禁止法違反

【刑罰】

5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

【条文】

第四条 児童買春をした者は、五年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0100000052/

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:熱帯魚の飼育、温泉旅行
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業後、司法試験に合格
  • 岐阜での司法修習を経て、大阪弁護士会に登録
  • 弁護士法人大江橋法律事務所で弁護士業務の基礎を学ぶ
  • 同事務所退所後、岡田和義法律事務所に移籍
  • 岡田和義弁護士の引退に伴い、士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道 設立

所属

  • 大阪弁護士会
  • 大阪弁護士会 交通事故委員会
  • 大阪弁護士会 遺言・相続センター運営委員会
  • リーガルアクセスセンター(LAC)登録弁護士

大阪本部 06-6365-7650

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