一方、16歳未満に対する不同意性交等、すなわち刑法177条3項適用のケースは全くガラッと事情が変わってきます。
被害者が16歳未満で、加害者が被害者より5年以上年長の場合、被害者が性交等に同意していたとしても不同意性交等が成立します。
「被害者が16歳未満」
「加害者が被害者より5年以上年長」
「性交等(性交、肛門性交、口腔性交、膣または肛門に陰茎以外の身体の一部や物を挿入)をした」
これだけ満たせば無条件で成立します。
成人に対する不同意性交等のように、特定の状況下にあることも、同意の有無も、被害者側の何らかの勘違いも、何も要求されていません。
「お互いに好きで真剣に付き合っていた」
とかの言い訳も一切通用せず、問答無用で成立します。
「同意の有無(についての加害者の認識)」といったややこしい要件の充足が必要ないため、起訴に際してのハードルも存在しません。
さらに、示談を希望したとしても、16歳未満の相手は当然未成年なので、示談の話を聞くかどうか、聞いたとして諾否をどうするかを決めるのは基本的に全て親です。
親なので、自分の大事な娘(あるいは息子)が5歳以上年長のどこの誰とも知れない男(あるいは女)に言いくるめられて被害に遭ったと考えると本人以上に怒ります。
そのため、成人に比べて交渉拒否率が跳ね上がります。
運良く交渉を開始できたとして、16歳未満に対する不同意性交等のケースの解決金額は、成人に対する不同意性交等のケースの解決金を大きく上回るのが通常です。
金額にして100~200万円ほど割高となることが珍しくありません。
それでも示談できればかなり運が良い部類となります。
16歳未満に対する不同意性交等の起訴率(公判請求率)は極めて高く、「示談不成立=起訴(公判請求)」と考えて差し支えありません。
加害者と被害者の関係性や犯行態様等によっては、示談が成立していたとしても起訴(公判請求)となります。
公判請求されたということは、被害者側の交渉拒否その他により示談ができなかった、あるいは示談をしたけれど駄目だった、ということを意味します。
そうすると起訴後に打てる有効な手がほとんどないということになります。
判決で執行猶予を付けてもらうには、宣告刑が「3年以下の拘禁刑」であることが最低限必要です。
しかし不同意性交等の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」、つまりそのままの状態ではどう足掻いても執行猶予をつけることができません。
不同意性交等で執行猶予を付けてもらうには「酌量減軽(考慮すべき情状がある場合に裁判官の判断で刑罰を半減させる)」が必須となります。
「酌量減軽」が認められれば宣告刑は「2年6月以上10年以下の拘禁刑」となります。
しかし、酌量減軽をしてもらったとしても言い渡された判決が「3年」を超えていたら執行猶予は絶対に尽きません。
士道法律事務所の過去事例では、16歳未満に対する不同意性交等で公判請求となったパターンにおいて、言い渡された判決は
「4年の拘禁刑(実刑)」が大半を占めています。
このように、16歳未満に対する不同意性交等を犯した場合、何としてでも示談を取りまとめない限り、4年以上の実刑という刑罰が科される可能性が高いということです。