暴行

暴行の加害者となったら

暴行の加害者となったら

暴行は逮捕・勾留されることはまずない類型の犯罪です。
暴行の刑罰は軽めの設定となっており、ただしその刑の軽さが逆にあだとなって示談が成立しなければ略式起訴が高確率で選択されるため、不起訴を目指すには被害者との示談がかなり重要となります。

暴行は士道法律事務所の受任事件の中で六番目に件数が多い罪名で、全体の約5.5%を占めます。
過去の解決事例においては、駅や電車で通路を譲るの譲らないのに端を発するもの、酔ってバーの客やタクシー運転手に暴力を振るったもの、道路工事や会社内での対応の不満を抱えて手を出したもの等、暴行の一般的な犯行態様パターンが網羅されています。
暴行の事案においては適切確実な示談の成立が今後の人生を大きく左右してくるので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

暴行の概要

他人に暴行を加え、しかし怪我をさせるに至らなかった場合には暴行の罪に問われることとなります。
「暴行」の態様としては、殴る、服や身体の一部を掴む、手や身体で相手方を押す、といった有形力の行使が一般的です。
「暴行」と「傷害」は行為態様が全く同じで、ただ相手方が怪我をしたか否か、これだけで適用罪名が変わってきます。
暴力を振るったけれども相手方が怪我をしなかったというケースはさほど多くはないので、多くのパターンでは「暴行」ではなく「傷害」が成立することとなります。

士道法律事務所に持ち込まれる暴行の犯行態様は主に以下のものです。

(A)酒に酔って店員、バーの客、タクシー運転手に暴力を振るう
(B)駅や電車での些細なトラブルから相手方に暴力を振るう

暴行の事案の約5割は酒に酔った末での(A)。
4割強が(B)、これ以外では「女性の背中に唾を吐いた」といった特殊なケースが極めて稀に発生します。
なお、このタイプとしては唾以外に尿や精液といった体液、その他液体をかけるという態様のものがあり、かけたものや状況によって暴行となったり、器物損壊となったり、迷惑防止条例違反となったりします。
類型ごとにどういうタイプの被害者が交渉相手として出てくるかにはかなり際立った特徴があり、類型によって示談の難易度等も変化します。

暴行に関するデータ

加害者・被害者の属性

加害者の性別は男性が100%、女性が0%。
被害者の性別は男性が約85.7%、女性が約14.3%。

大半が「男性×男性」の類型となります。

交渉拒否率

約14.3%

被害者の連絡先開示がなされず、交渉開始自体が不可能なのは7~8件に1件程度の割合です。

被害者が特定の公務員(警察官、救急隊員等)の場合、会社の方針として交渉自体拒否を掲げている駅員等の場合は、いかなるアプローチをかけたとしても必ず交渉自体が拒否されます。

示談成立率

約76.2%(交渉可能な事案では約88.9%)

暴行事件全体の示談成立率は約76.2%です。
一方、交渉拒否のパターンを除いて、士道法律事務所の弁護士が相手方と交渉を開始できた場合の示談成立率は約88.9%です。

処分内訳(不起訴率)

非事件化 約10.0%
不起訴 約75.0%
略式 約10.0%
公判 約5.0%

暴行事案は刑事事件化する前に終了あるいは不起訴の「前科が付くことなく終結」の割合が高めで、全体の約85%を占めます。

示談の重要性

示談の重要性

暴行は示談成立率が全罪名平均とさほど変わらず、示談の成立しやすさは並程度の罪名となっています。

暴行は罰金刑の設定があることから、示談不成立の場合に検察官が略式起訴を選択する可能性が高くなります。
そのため、傷害ほどではないとはいえ、示談の重要性が高い罪名です。

きちんと手順を踏めばちゃんと交渉を開始できて、交渉を開始できれば示談がまとまる公算が大で、示談がまとまればまず不起訴、これが暴行と示談の関係性です。
示談ができなかったとしても次善の手を講じていけば十分不起訴が狙え、不起訴が無理であったとしても略式には落ち着く可能性が高いところではあります。
しかし、略式といえど前科が付くことには変わりないので、前科回避を目指すなら示談にきちんと取り組むことが重要となります。

暴行の固有の特徴

飲酒の有無で交渉経過の摩擦係数が変わる

暴行の態様について、大きく分けると
(A)酒に酔って前後不覚となって暴力を振るったか
(B)飲酒なしの素面の状態で暴力を振るったか
この2パターンのいずれかとなります。

暴行の示談交渉においてより厄介なのは酒の入った(A)ではなく、実は(B)の方です。

なぜか。
(A)は酔っ払いがたまたま近くにいた人に絡んでいって、これを避けられなかった人が被害に遭う、というのが基本のパターンです。
酔っ払いなので酔いが醒めれば「何でこんなことをしてしまったのか」となることがほとんどですし、被害者はごく普通の通行人、たまたま店に居合わせた客である確率が高くなります。

一方(B)の場合、特にさしたる原因も理由もなく暴行という結果が突然生じることはまずありません。
どちらが先かはともかくとして、通路を塞ぐ、ダル絡みをする、容姿をイジる、ここから怒鳴り合いや小競り合いに発展して、手を出した方が加害者となる、こういう構図です。
「加害者」と「被害者」の双方、あるいはどちらか一方が軽くいなして流せるタイプであれば衝突は発生しません。
双方が特定の性格の持ち主である場合のみ、衝突が発生します。

だから(B)の場合には「必ず」「100%」双方の言い分は食い違っており、双方に自己を正当化する主観的な理由がある、ということになります。

そのため、(B)の場合はどこに摩擦が生じるかを事前に把握した上で、(A)以上に示談交渉の進め方を工夫する必要が出てきます。

暴行は簡単に傷害にランクアップする

暴行と傷害の違いは「被害者が怪我をしたか否か」、これだけです。
この「怪我をしたか否か」は医師の診断書が出ているか否かで決まります。

暴力を振るったけれども相手方が全く何の怪我もしていないということは滅多にありません。

警察の取り調べを受けた時点、あるいは法律相談に来た時点では「暴行」の罪名であったとしても、(事件発生からそう間を置かないタイミングで)被害者が病院に行って診断書を出してもらい、これを警察に提出すればそれで罪名は「傷害」に変わり、法定刑が大幅にアップします。
これは加害者側では如何ともすることができません。
そのため、暴行事件を起こした場合は、いつ罪名が傷害に変わってもおかしくないということを念頭に置いておく必要があります。

暴行の解決事例

暴行は当事務所の中でも取り扱いの多い罪名の事案です。
過去の解決事例は

にて紹介していますので、必要に応じてご確認ください。

Q&A

暴行罪の刑罰はどのくらいですか?

暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
傷害罪と比べると軽い刑罰ですが、前科がつくことに変わりはありません。初犯で示談が成立していれば、不起訴となる可能性は十分にあります。

相手に怪我がなくても罪になりますか?

なります。暴行罪は、相手に怪我を負わせなくても成立します。
殴る、蹴る、突き飛ばすなどの行為があれば、相手に傷害結果が生じなくても暴行罪に問われます。
逆に、暴行の結果として相手が怪我を負った場合は、より重い傷害罪が成立します。

暴行の示談金の相場はどのくらいですか?

事件の内容や被害者の方のお気持ちによって異なりますが、数万円から数十万円程度が目安となることが多いです。
怪我がない暴行罪の場合は、傷害罪と比べて示談金が低くなる傾向にあります。
具体的な金額は、法律相談の際に事件の内容をお伺いした上でお伝えいたします。

酔っていて覚えていない場合はどうなりますか?

酔っていて記憶がない場合でも、暴行の事実があれば罪に問われます。
被害者の方の証言や目撃者の証言、防犯カメラの映像などから事実が認定されることがあります。
記憶がないことは、罪が成立しない理由にはなりません。ただし、示談交渉においては、反省の姿勢を示すことで被害者の方に応じていただける可能性があります。

構成要件・刑罰・条文

【刑罰】
2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料

【条文】
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:熱帯魚の飼育、温泉旅行
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業後、司法試験に合格
  • 岐阜での司法修習を経て、大阪弁護士会に登録
  • 弁護士法人大江橋法律事務所で弁護士業務の基礎を学ぶ
  • 同事務所退所後、岡田和義法律事務所に移籍
  • 岡田和義弁護士の引退に伴い、士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道 設立

所属

  • 大阪弁護士会
  • 大阪弁護士会 交通事故委員会
  • 大阪弁護士会 遺言・相続センター運営委員会
  • リーガルアクセスセンター(LAC)登録弁護士

大阪本部 06-6365-7650

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