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刑事事件を起こしたら職場に伝わる?
警察は事件のことをいちいち職場に伝えない
刑事事件を起こしたからといって、その事実が不可避的に職場や学校に伝わるということはまずありません。
なぜなら、警察官は必要な業務、与えられた仕事として捜査活動を行っており、その仕事を完遂できればそれで足り、別に加害者の人生を破壊してやりたいと考えているわけではないからです。
だから、
『必要がない限り』
事件のことを職場にいちいち伝えたりはしません。
逆に言えば
「必要があれば事件のことを職場に伝える」
ということでもあります。
警察が事件の存在を職場に伝える場合とは
例えば職場がその事件に関係している場合。
横領や器物損壊で勤務先自身が被害者であるとか、盗撮や不同意わいせつで勤務先に勤める同僚である従業員があるとか。
例えば職場の特殊な性質から伝達が義務付けられている場合。
被疑者が警察官、消防官、国公立学校の教員といった一定の公務員であるとか。
例えば職場を経由しないと被疑者と連絡が取れない場合。
被疑者が警察署に任意で出頭せず逃げ隠れしているとか。
もっとも、ほとんどの事案はこういったレアケースには該当しません。
したがって、一般的な事件では捜査期間中も事件が不起訴や略式起訴で終わった後も、捜査機関経由で事件の存在が職場に知られることはないということになります。
職場との関係で注意すべき点
このように、一般的なケースでは捜査機関から勤務先に事件の存在やその内容が伝えられることはないので、事件前と同じように普通に働いて普通に過ごしていればそれで足ります。
もっとも、当然のことではありますが、逮捕・勾留されたらその期間は職場に行くこともできなくなるので、その場合には半自動的に事件のこと(=警察に身柄を拘束されていて出勤できないこと)が職場にバレることになります。
また、在宅捜査の場合であっても、取調べ等で仕事を休む(有給休暇の申請含む)こととなる場合、そのあたりの監視の目が厳しい職場では
「何でこいつ最近こんなに休むんだ?」
と不審に思われてそこから事件のことが発覚する可能性は出てきます。
ただ、普通は事件のことが職場にすぐ伝わることはないので、従前どおりに勤務を続けて大丈夫です。
この点に絡んで、逆の視点からの注意事項として、
「いちいち自体を悲観して自分から退職する必要はない」
ということも挙げられます。
どういうことかというと。
不起訴で前科回避
でも述べているように、不起訴処分を獲得するにはとにかく示談が重要となります。
示談するにはそれなりにまとまったお金が必要となります。
勤務先を退職してしまうと普通はその時点で収入が途絶えるか激減します。
そう。
普通に仕事を続けていれば生活費を確保しながら弁護士に示談交渉を依頼して不起訴となることができていたのに、勝手に悲観的になって事態を重く悪く見て退職してしまうとその道が困難となったり途切れたししてしまうのです。
もちろん、自発的な退職には懲戒解雇となる前に自らケリをつけてダメージを小さくするという戦術上のメリットもありますが。
こういった点も含めて弁護士にきちんと相談した上で進退を決めるということをお勧めします。
刑事事件を起こしたら報道される?
大半の事件は報道などされない
刑事事件を起こしてもそれが報道されることは滅多にありません。
報道される事件というのは全体のごくごく僅かなものです。
例えば、最近目にした犯罪報道の内容を思い出してみてください。
「本日●月●日、●市在住の●という人物が●の容疑で『逮捕』されました」
TVニュースでもネット記事でもほとんどがこんな風に報道されているはずです。
報道に至る経過は大体以下のような感じです。
地域や時代によっても違いはあるでしょうが、大雑把なイメージは変わりません。
・報道機関(記者)が担当している警察署に「今日どんな事件あります?」と尋ねる
・警察が「今日はこれとこれとこれ」と『逮捕』した事案を中心に提示する
・報道機関はその中から『世間の興味を引きそうなものだけ』を選んで報道する
刑事事件が発生して、それを片っ端から逮捕などしていたら警察官の手が足りませんし、留置場もあっという間に満杯となって溢れてしまいます。
したがって、大半の事件は逮捕などされない在宅事件として捜査が進みます。
つまり、逮捕されていない事件は前記報道機関への提示の前提を欠くことになります。
ではその「大半の事件」に該当しない身柄拘束事件であったとして。
それを片っ端から報道などしていたら報道局スタッフの手が足りませんし、ニュースの枠や紙面があっという間に満杯となって溢れてしまいます。
したがって、大半の事件は報道などされることなく、世間に知られずひっそりと進んでいくことになります。
報道の是非を決めるポイントは
『世間の興味を引きそうな事件か否か』
です。
だから例えば
「中学校の教師が女子中学生に金を渡してセックスした」
とかであれば報道されやすくなりますし、
「ごく普通の会社員がパパ活で女子高生とセックスした」
とかであれば報道されにくくなる、ということです。
被疑者が一流企業・有名大学なら報道されるか
事件報道に関する質問は法律相談でもよく出てくるのでいつも上記のようなことを回答しているのですが。
こういう不安を抱く人というのは、大体次に
「うちの息子は有名大学の医学部なので世間も興味を持つのでは……」
「実は私の勤務先は上場大企業なのでそこが重視されるのでは……」
といったことを述べてきます。
安心してください。
あなたが思っているより遥かに、あなたやあなたの家族は「普通」の「どこにでもいる人」で、その犯罪は「よくあるありふれた犯罪」です。
親戚や親しい知人友人といった身近な人はともかくとして、世間はあなたにさほど興味関心を持っていません。
盗撮、痴漢(不同意わいせつ)、児童買春(不同意性交等)、窃盗、傷害。
どれもそこらへんで日常的に発生しているいつものよくある犯罪に過ぎません。
あなたが芸能人とか政治家とか医者とかのやや特殊な社会的地位を有している人であるとか。
やらかした内容が人を死亡させるほどの重いものだとか今流行りのトクリュウ事案であるとか。
あとは社会的地位と事案の内容の組み合わせが特殊だったとかの事情でもない限り、いちいち報道されることはまずありません。
報道されるときはされるし対処方法はまず存在しない
とはいえ報道されることが絶無というわけではありません。
当事務所で過去に取り扱った事案の中にも全国ニュースで大きく報道された事件がいくつかあります。
ただ。
そういう人は法律相談に来る前、逮捕された直後にすでに報道されています。
報道は被疑者(加害者)側に何か選択権のようなものがあるわけではありません。
報道機関が「報道しておこう」と考えたら報道される、それだけです。
つまり心配しても不安になってもそれが結果に何か影響を与えることはなく、頭を悩ませるだけ完全に無駄、全くの無意味ということです。
……まぁ一応、報道自体を阻止させたり報道内容に若干の変更を加えさせる手がないわけではなく、そういった手立ての実例も士道法律事務所で把握はしています。
ただそれは一般人が取り得るような手段ではありませんし、いくつかの条件を満たす必要があり、それでも確実にどうといったものではありません。
したがって、やはりあれこれ考えて頭を悩ませる必要はないということになります。
刑事事件のことを家族に伏せられる?
事件が家族に伝わる場面とは
刑事事件の加害者となったことが家族に伝達される場面としては主に以下のものがあります。
・警察から被疑者への出頭要請の連絡
・初回取調べ後の身元引受要請の連絡
・捜査機関から被疑者宛の郵便物送付
僅かな例外を除けばこの3つの局面だけです。
したがって、これらの局面で打つべき手を打てば刑事事件の被疑者として扱われていることを身近な家族に伏せたまま事態を進めることも可能ではあります。
対応の方法を知ってさえいればどれも決して難易度の高いものではありません。
警察から被疑者への出頭要請の連絡
警察とのファーストコンタクトが
「電車で盗撮して通行人に現行犯逮捕されてそのまま勾留された」
とか、
「早朝警察が家族と同居している家に逮捕状を持ってやってきた」
とかだと不可避的に家族に逮捕の事実が伝わるのでどうしようもありません。
しかし、警察から被疑者への最初のアプローチは圧倒的多数が、
「電話で『●月●日の件で●警察署に来て』と告げられた」
というものです。
これをのらりくらりと躱そうとしたり、逃亡を試みようとしたりしていると警察も
「じゃあ逮捕するわ」
となるので、まずはこの電話連絡に素直に応じて出頭するというのが最初のポイントとなります。
初回取調べ後の身元引受要請の連絡
最初の(任意)取調べが終わった後、警察官は多くの場合、
「じゃあ今日はこれで終わりだから身元引受人になる人に迎えに来てもらって」
と言ってきます。
普通は妻や夫、親を呼びますが、実は
「身元引受人がいない状態で被疑者を帰してはならない」
というルールは存在しません。
頼れる人がいない、家族や周囲にはどうしても伏せておきたい、と言えば警察官がパトカーで自宅まで送り届けてくれるということは普通にあります。
また、友人や会社の同僚や上司(この場合は職場に知られるリスクが跳ね上がりますが)、出頭が事前にわかっていれば弁護士(警察署によっては「弁護士は身元引受人になれない」と拒否されることもありますが)に身元引受人になってもらうケースもあります。
したがって、
・身元引受人なしで帰宅させてもらえるよう警察官に頼み込んでみる
・身元引受人から家族その他『事件を知られたくない人』を除外する
というのが二番目のポイントとなります。
捜査機関から被疑者宛の郵便物送付
警察からの呼出連絡は携帯電話宛に入ることがほとんどですが、送検後の検察庁からの連絡は電話連絡が7~8割、文書連絡が2~3割くらいのイメージです。
文書での呼出がなされた場合、家族が郵便受けを見ることで
「検察庁からのお知らせ……?」
となって事件のことが知られてしまう可能性が出てきます。
ただ、これは警察官に事情を説明しておいて、
「送検時に『電話での呼出希望』と申し送りするか、送検されたらすぐに教えてほしい」
と要請し、送検後に被疑者または弁護人から検察官に連絡を入れておけばクリアできる可能性が十分に出てきます。
これに対して「起訴」となった場合。
特段の手を打たないでいると略式起訴や公判請求の通知書は自宅宛に郵送で送られてきます。
つまり、家族と同居していたらここでバレる可能性が高いことになります。
しかしこれも起訴の公算が高い場合に検察官に事情を説明して、
「通知は検察庁まで受け取りに来るので郵送ではなく対面交付としてほしい」
と伝えて了承が得られれば通知書の郵送がなくなります。
ちなみに、きちんと示談をまとめる等して不起訴処分となれば、通知される文書等がそもそも存在しないことになるのでこの点に関する心配は全く無用のものとなります。
それでも家族には事件のことを伝えるべき
前述のポイントを押さえて取るべき行動を取っていけば、起訴であっても不起訴であっても、最も身近な存在である家族に刑事事件の加害者となったことを伏せたまま事件を終わらせることは可能ではあります。
実際に、依頼者(被疑者、加害者)の要望を受けて家族に事件の存在自体を知られないまま、ひそかに解決に導いたケースもいくつか存在しています。
ただ。
士道法律事務所としては、
「事件の存在はきちんと家族に伝えた上で正面から向き合う」
ということをお勧めしています。
事件のことを伏せたとして、一時的には離婚の危機等を回避できてよいのかもしれません。
しかし、そういった重大な隠し事をしているということは何となく漏れ出て、家族が察してしまうということは十分にあり得ます。
こっそり解決しようとしたことが後で発覚したら、それは家族に対するより強い裏切り、不信の元となり、覆せない別離の要因となってしまうかもしれません。
精神的負担の面からも、経済的な協力の面からも、そして何より信義の面からも。
己の犯した罪はきちんと家族に伝え、受けるべき報いは受け、その上で家族として改めて支え合いながら更生の道を歩んでいく。
士道法律事務所はそのような生き方を推奨したいと考えています。
Q&A
刑事事件を起こしたら大学や職場に通知されますか?
警察や検察が被疑者の勤務先や学校に事件のことを積極的に伝えることはまずありません。
ただし、被疑者と被害者の関係性、被疑者・勤務先の属性の特殊性によっては通知がなされることがあります。
また、逮捕・勾留で長期間欠勤した場合は誤魔化しが効かなくなる場合がありますす。
刑事事件を起こしたらニュースで報道されますか?
ほとんどの事件は報道などされません。
報道されるのは、加害者と被害者の属性が特殊であるとか、犯行の結果が重すぎて社会の関心が特に強いとかのごく限られたケースです。
また、報道されるケースの大半は「逮捕」された場合なので、逮捕自体がされない、あるいは逮捕されてもすぐ釈放されたとかの在宅の事案は滅多に報道されません。
家族に事件のことを伏せたままで解決できますか?
刑事事件の加害者となったことを家族に伏せたまま解決させること自体は可能です。
事件の存在が家族に伝わるポイントがいくつかあるので、そこで取るべき対処を取ればよいことになります。
もっとも、士道法律事務所では事件のことをきちんと家族に伝えた上で解決と再建の道に進んでいくことをお勧めしています。
