器物損壊

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器物損壊の加害者となったら

器物損壊の加害者となったら

器物損壊は逮捕・勾留されることがまずない類型の犯罪です。
暴行の刑罰は軽く、ただしその刑の軽さが逆にあだとなって示談が成立しなければ略式起訴が比較的容易に選択されるため、不起訴を目指すには被害者との示談が重要となります。

器物損壊は士道法律事務所の受任事件の中で七番目に件数が多い罪名で、全体の約5.0%を占めます。
過去の解決事例においては、駐輪場の利用方法トラブルから自転車を損壊したもの、女性に精液や尿をかけたもの、酔って店舗のドアを破損したもの等、器物損壊の一般的な犯行態様パターンが網羅されています。
器物損壊の事案においては適切確実な示談の成立が今後の人生を大きく左右してくるので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

器物損壊の概要

他人の物を損壊すると器物損壊の罪に問われることとなります。
この「他人の物」には自転車や服、家具等の無機物は当然として、ペットとしての生き物、犬や猫やコイといったものも含まれます。
「損壊」の態様としては、物理的に破損する行為の他、物を汚して本来の用途として使えなくすることも含まれます。

士道法律事務所に持ち込まれる暴行の犯行態様は主に以下のものです。

(A)駐車場・駐輪場の使用ルール違反等から自動車や自転車を損壊
(B)女性の衣服や自転車に体液その他の液体をかける

器物損壊の事案の4割弱が(A)。
約3割が(B)、これ以外では「酒に酔って店舗のドアを破壊した」「パチンコで負けて台を殴って壊した」「万引きの逃走中に電光掲示板を倒して壊した」といったケースが若干存在します。
類型ごとにどういうタイプの被害者が交渉相手として出てくるかにはかなり際立った特徴があり、類型によって示談の難易度等も変化します。

器物損壊に関するデータ

加害者・被害者の属性

加害者の性別は男性が約94.7%、女性が約5.3%。
被害者の性別は男性が約36.8%、女性が約36.8%、法人(会社)が約26.4%。

交渉拒否率

約21.1%

被害者の連絡先開示がなされず、交渉開始自体が不可能なのは5件に1件程度の割合です。

交渉自体が拒否される類型は前記の
(B)女性の衣服や自転車に体液その他の液体をかける
という態様に大きく偏っており、このタイプだと交渉拒否率が約6割にまで跳ね上がります。

示談成立率

約77.8%(交渉可能な事案では100%)

器物損壊事件全体の示談成立率は約77.8%です。
一方、交渉拒否のパターンを除いて、士道法律事務所の弁護士が相手方と交渉を開始できた場合の示談成立率は100%です。

処分内訳(不起訴率)

非事件化 約6.3%
不起訴 約87.4%
略式 約6.3%
公判 0%

器物損壊事案は、刑事事件化する前に終了あるいは不起訴の、「前科が付くことなく終結」の割合が極めて高く、全体の93%以上を占めます。

これは、器物損壊が元々軽微な犯罪と扱われていること、親告罪(被害者の告訴がないと起訴することができない)であることが影響しています。

示談の重要性

器物損壊は、示談成立率が全罪名平均をやや上回っており、特に際立った特徴としては
「相手方と交渉を開始できたパターンだと示談成立率が100%」
というところが挙げられます。
また、非事件化率・不起訴率がかなり高く、略式起訴すら選択されることが滅多にありません。

器物損壊は親告罪なので、示談を取りまとめてその中で
「告訴の取消」
の条項がきちんと入れられていれば100%確実に不起訴となります。
つまり、示談で告訴を取り消してもらうことが極めて重要な意味を持つことになります。

器物損壊の固有の特徴

パターンによって示談交渉開始の可否が変わる

パターンによって示談交渉開始の可否が変わる

前記のとおり、器物損壊は被害者の連絡先が開示されて交渉を開始することさえできれば(今のところは)100%で示談が成立しているという、極めて示談が成立しやすい類型であるということがデータ上で示されています。

一方で、器物損壊事案全体での示談成立率は77.8%であり、罪名全体の平均をやや上回る程度でしかありません。

これは、示談交渉事案として持ち込まれる器物損壊の主な二類型、
(A)駐車場・駐輪場の使用ルール違反等から自動車や自転車を損壊
(B)女性の衣服や自転車に体液その他の液体をかける
のうち、(B)の交渉自体拒否の率が極端に高いためです。

交渉自体拒否の場合は相手方と直接話をすることができないため、
「なぜ弁護士と話をすること自体を拒んだのか?」
という理由を直接訪ねることはできません。

ただ、交渉自体拒否のケースがどういう罪名のどういうパターンに偏っているかを紐解いていけば浮かび上がってくるものはあります。

交渉拒否率が高いケースは主に以下の2パターンです。

(A)刑罰がかなり重く、被害者以外の人間が交渉の可否を判断するパターン
(B)刑罰がかなり軽く、被害者本人が交渉の可否を判断するパターン

前者の代表例は「不同意性交等(16歳未満)」、後者の代表例は「器物損壊」「公然わいせつ」です。

(A)の方は被害者側、基本的には被害者の親の怒りの程度が強く、
「お金などいらない。だから弁護士であっても話自体をする必要がない。厳罰に処してくれたらそれでよい」
となって交渉開始自体が不可、続く展開としては起訴からの実刑が予想されるためかなり厳しい道のりとなります。

これに対して(B)の方は、「刑罰が軽い=被害感情も小さい」となるので、
「別に大した被害に遭ったわけでもないし、面倒くさいから……」
となって交渉開始自体が不可、ただし示談できずとも意見書の提出等で十分不起訴に持っていけるのでそこまで悲観することはない、となります。

告訴の取消で100%確実に不起訴となる

罪の中には告訴権者による告訴がなければ起訴できない「親告罪」というものが存在します。
親告罪とされているのは以下のような罪です。

  • 過失傷害
  • 器物損壊
  • 名誉毀損
  • 侮辱
  • 窃盗や横領で被害者と加害者が一定の親族関係にある場合

かつては被害者のプライバシー保護の観点から強姦罪が親告罪とされていたこともありましたが、現在は非親告罪となっており、親告罪という設計の罪は減少傾向にあると言っていいでしょう。
なお、上記親告罪の中で刑事示談交渉の実務において登場してくるのは器物損壊がほとんど、ごく稀に名誉毀損が出てくることもある、という程度です。

通常、示談は検察官が起訴・不起訴を判断するための一要素でしかないので、
「示談成立=不起訴」
ではないですし、
「示談不成立=起訴」
でもありません。

経験上、示談が成立すればほぼ100%不起訴になるとか(前科前歴なしの初犯の被疑者によるスカート内盗撮の事案等)、示談が不成立でもほぼ100%不起訴になるとか(成人女性に対する不同意性交等で同意の有無が問題となっている事案等)の事案は存在しますが、これらもあくまで
「『ほぼ』100%」
です。

これに対して親告罪の場合は、告訴が取り消されたら確実に、絶対に、不起訴です。
告訴がないと起訴できないと法律で定められているからです。

そのため、親告罪である器物損壊においては、正しい条項を入れ込んだ示談をしっかりと取りまとめることが確実な不起訴に繋がることとなります。

器物損壊の解決事例

器物損壊は当事務所で最も取り扱いの多い罪名の事案です。
過去の解決事例は

にて紹介していますので、必要に応じてご確認ください。

Q&A

器物損壊で逮捕されることはありますか?

現行犯で取り押さえられた場合は逮捕されることがあります。
ただし、器物損壊は比較的軽い罪であり、住所や身元がしっかりしていれば、取調べ後に釈放されるケースがほとんどです。
後日逮捕されるケースは多くありませんが、被害届が出されれば在宅のまま捜査が進む可能性があります。

器物損壊罪の刑罰はどのくらいですか?

器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。
初犯で被害額が少額であれば、示談成立により不起訴となる可能性が高いです。
器物損壊罪は親告罪であるため、被害者の方が告訴を取り下げれば、検察官は起訴することができません。

過失で壊してしまった場合も罪になりますか?

器物損壊罪は故意犯であり、わざと壊した場合に成立します。
うっかり壊してしまった場合(過失)は、刑事上の罪には問われません。
ただし、民事上の損害賠償責任は発生しますので、修理代などを弁償する必要があります。故意か過失かが争いになるケースでは、弁護士にご相談ください。

被害者が会社や店舗の場合、示談交渉はどう進めますか?

被害者が法人の場合でも、示談交渉は可能です。
会社の担当者や店舗の責任者と交渉を行い、被害弁償と告訴取下げについて合意を目指します。
個人と比べて感情的な対立が少ない反面、会社の方針として一定の金額を求められることもあります。弁護士が間に入ることで、スムーズに交渉が進むケースが多いです。

構成要件・刑罰・条文

【刑罰】
3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料

【条文】
第二百五十八条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
第二百五十九条 権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
第二百六十条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の拘禁刑に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:熱帯魚の飼育、温泉旅行
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業後、司法試験に合格
  • 岐阜での司法修習を経て、大阪弁護士会に登録
  • 弁護士法人大江橋法律事務所で弁護士業務の基礎を学ぶ
  • 同事務所退所後、岡田和義法律事務所に移籍
  • 岡田和義弁護士の引退に伴い、士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道 設立

所属

  • 大阪弁護士会
  • 大阪弁護士会 交通事故委員会
  • 大阪弁護士会 遺言・相続センター運営委員会
  • リーガルアクセスセンター(LAC)登録弁護士

大阪本部 06-6365-7650

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