警察の呼出を受けた方へ
警察の取調べを受けた後、「これからどうなるのだろう」と不安を感じる方は多いです。
逮捕でも任意の取調べでも今後の展開が見えない状況は同じです。
士道法律事務所で法律相談を予約される方の多くは、警察署から呼び出しを受け、あるいは取調べを受けた後にインターネットで情報を調べて士道法律事務所のHPに辿り着いています。
「自分の事件はこの後どうなるのか」
「一体何に優先的に取り組むべきか」
このページでは警察からの呼出・取調べを受けた後の流れと、今からできること・すべきことを説明していきます。
逮捕のケースは実は少ない
「刑事事件を起こしたら逮捕される」
「逮捕されたら長い期間拘束される」
というのが世間的なイメージです。
しかし、逮捕に至るケースはそう多くないというのが実際の運用です。
逮捕されても勾留にまで至るケースは更に少数なのです。
逮捕には「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」といったものがあり、それぞれに厳格に要件が定められています。
したがって、それらの要件を満たさなければ逮捕することはできません。
逮捕されたらそこから最長72時間以内に勾留or釈放が決まります。
勾留にも要件や必要な手続が定められており、
「検察官が勾留を必要と考えるか」
「裁判官が勾留請求を認めるか」
によって勾留の是非は変わってきます。
勾留が認められれば原則10日間、延長されて最大20日間(一部の例外的な罪については25日間)の身柄拘束となります。
しかし、全ての事件で逮捕や勾留がなされるわけではありません。
そんなことをしていたら警察・検察・裁判所の人手が全く足りませんし、留置施設もあっという間に満杯になってしまうからです。
警察からの呼出や取調べに応じている。
定まった住所や仕事に就いている。
逃亡や罪証隠滅のおそれがない。
盗撮、痴漢、窃盗、傷害といったよくある事案であれば、こういった条件を満たしていないというのでない限り、普通は逮捕などされません。
逮捕されなかった、逮捕されたが勾留はされずすぐ釈放された、というケースの方が圧倒的多数であり、この場合は在宅のまま捜査が進むことになります。
取調べで取るべき対応
士道法律事務所の法律相談では
「警察の取調べにどう対応したらいいですか?」
という質問がよく出てきます。
士道法律事務所の弁護士の回答はいつも決まっており、
「警察官や検察官の質問をちゃんと聞いて、問いに正直に答える」
これだけです。
何も難しいことはありません。
非常にシンプルで当たり前の話です。
その理由について。
まず、警察官も検察官も日常的に犯罪者を相手にしているプロ中のプロです。
目の前の被疑者が
「嘘で誤魔化そうとしているな」
「上手いこと言おうとしているな」
としている様子は敏感に正確に見抜いてきます。
そういう気配が伝われば、当然追及は厳しくなりますし当たりも強くなります。
逆に言えば、
「正直に記憶のままを話している」
「誠実に対応しようとしている」
こういったこともしっかり伝わるということです。
悪いことをしたなら「しました」と言う。
していないなら「していません」と言う。
記憶が曖昧なら「覚えてません」と言う。
認識が違うことがあれば「違う」という。
普通の当たり前のことであり、これだけ心掛けていれば足ります。
警察官にせよ検察官にせよ、仕事で必要なことを聞いているだけです。
ただ認めの供述を取るのがひとまずの仕事であるので、
「やってません」「覚えていません」
と述べる被疑者に対して、
「へー、そうなんだぁ」
と流していたら仕事になりません。
犯人ではないのに
「お前がやったんだろう!」
と詰められ、否定しても埒が明かない、堂々巡りになるというのであれば黙秘という選択を取ることは構いません。
必要なこと(「やっていない」という回答)は既に伝えているからです。
飲酒等で記憶がない、曖昧だと回答した後に警察官が
「こういう防犯カメラ映像があるんだが」
「被害者はこう言っているんだが」
と言ってくることもあります。
その結果、記憶が断片的にでも甦ったなら
「こういうことをしたような記憶があります」
と言えばよいです。
記憶にはなくとも映像等から実はやっていると思ったなら
「酔ってて記憶はないですがそういう映像があるなら、被害者がそう言っているならやったんだと思います」
と言えばよいです。
映っているのが自分ではないとか被害者が嘘を吐いていると思うなら
「そう言われても自分はやってないと思います」
と言えばよいです。
どういうパターンであったとしても、
「警察官や検察官の質問をちゃんと聞いて、問いに正直に答える」
これが正解の対応という結論に至ります。
取調べで述べた内容は最終的に供述調書として整理されます。
取調べ後に警察官や検察官が供述調書を作成し、被疑者に内容を読み聞かせます。
内容に大きな誤りがなければ被疑者にて供述調書に署名・押印します。
取調べで述べた内容と供述調書に記載された内容に大きな食い違い(例えば不同意性交等で「自分としては相手方の同意はあったと思っている」と述べてきたのに、調書には「相手方は性交に同意していなかったと思います」と書いてあるとか)がある場合、その箇所の訂正を求めることができます。
訂正してもらえない場合は署名・押印を拒否しても構いません。
身元引受人について
逮捕・勾留されなかった場合、取調べが終われば自宅に帰れます。
このときに警察官から
「身元引受人を呼ぶように」
と言われることもあります。
身元引受人には家族や友人、上司といった人がなることが多く、警察から家族等に連絡を入れてもらいます。
家族等が身元引受人となる場合、引受人が「身元引受書」に署名押印し、被疑者は身元引受人と一緒に警察署を出ていきます。
ところで、釈放に当たり身元引受人の存在は必須ではないということは案外知られていません。
一人暮らしで親は遠方に住んでいるとか、事件のことを家族や職場の人に知られたくないとかの場合には、身元引受人を特につけないままで済むこともあります。
この場合、大半のケースでは被疑者はパトカーに乗せられて自宅まで送り届けられます。
警察からの初回の呼出を受けた段階で被疑者から士道法律事務所に、
「弁護士に身元引受をお願いしたいです」
という要望が伝えられることも時々あります。
弁護士費用として「日当」は発生しますが、時間等の都合がつくのであれば士道法律事務所にてこういった要望をお受けすることも可能です。
ただ、警察官によっては
「弁護士は身元引受人として認められない」
と言ってくることもあるので注意は必要です。
釈放後にすべきこと
釈放後も捜査は続きます。
在宅捜査の場合、どこかの段階で事件が警察から検察に送られ(送検)、最終的に検察官が起訴か不起訴かを判断します(特定の軽微な罪名、特定の状況下では送検されずに警察の取調べだけで終わることもありますが)。
警察の取調べが終わって釈放されたからといってそれで終わりというわけではありません。
重要なのはできる限り早く弁護士に相談することです。
何の件で捜査の対象とされているのかがわかって、後に起訴・不起訴の判断が下されるまで。
この期間内にどのような対応を取るかが最終的な結果を大きく左右します。
被害者が存在している事件で特に有効・重要なのが示談です。
被害者との示談交渉に取り掛かり、示談を成立させ示談金(解決金)の支払いや宥恕文言(処罰を望まないという被害者の意思)等を盛り込んだ合意書を取り交わし、示談金(解決金)をきちんと支払う。
正しい示談を取りまとめることで不起訴の可能性が大幅に高まります。
時間が経てば経つほど被害者の方の感情は悪化する傾向にあり、また単純に示談交渉に使える時間が短くなって打てる手もどんどん減っていってしまうので、早めの対応をお勧めします。
士道法律事務所の法律相談
士道法律事務所への法律相談の問い合わせの約95%は刑事事件の当事者、被疑者本人からの連絡です。
警察署での一回目の取調べを受け、釈放された後すぐに問い合わせを行い、
「今後どうなるのか知りたい」
「なるべく早く示談としたい」
といった要望を持って法律相談のために士道法律事務所に来所されています。
士道法律事務所の初回の法律相談は1時間の枠でお取りしており、この1時間の法律相談は完全に無料での対応となっています。
時間を延長しての法律相談も可能ではありますが、この1時間の枠で必要なことを全てキッチリご説明しており、相談者からの質問事項にもほぼ全て完璧に回答しているので、延長相談の費用が発生することはまずありません(2~3年に一度あるかないか程度です)。
事件の内容や状況をお伺いした上で、今後の具体的な見通しと、これから取るべき行動をお伝えしています。
受任事件の9割以上を占める「示談交渉プラン(現在身柄拘束されておらず、特定の重大罪名に該当しない事案)」は着手金は11万円にて刑事示談交渉を主眼に置いた捜査弁護の依頼をお受けしています。
警察の呼出や取調べを受けて不安を抱えている方は、是非一度士道法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
Q&A
取調べに弁護士は同席できますか?
現在の日本の制度においては取調べへの弁護士の同席が権利として認められているわけではありません。
自首同行等で取調べ室の近くで弁護士が待機することは可能ですが、ハッキリ言って弁護士に無駄な費用を払うだけとなるので士道法律事務所ではお勧めしていません。
どうしても取調べが不安という場合には、取調べの前に士道法律事務所にてご相談いただくことをお勧めします。
任意出頭の要請には応じなければなりませんか?
任意取調べはあくまで「任意」なので拒否することも可能です。
もっとも、任意取調べを拒否し続けていれば今度は逮捕のリスクが上がります。
士道法律事務所では出頭要請に応じた上で取調べに誠実に対応することをお勧めしており、結果的にこれが無用の逮捕を回避することに繋がり被疑者にとって有利となることが多いです。
調書への署名・押印の拒否は可能ですか?
拒否することは可能です。
供述調書は取調べでの被疑者の供述内容を捜査機関がまとめたもので、記載された内容に誤りがあれば訂正を求めることもできます。
警察官が訂正に応じてくれない場合は署名・押印を拒否することも一つの選択肢です。
黙秘権は行使した方がいいですか?
状況にもよりますが、基本的にはあまりお勧めしません。
「捜査に協力しない」という姿勢を示す行動なので警察官や検察官の取調べの圧が強まりますし、「反省していない」という態度でもあるので情状が悪化します。
黙秘が有効な場面は限られているので、罪を犯したことに間違いがなければ取調べに応じてきちんと認めるのが正解です。
執筆者
士道法律事務所 Shidoh Law Office
弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi
プロフィール
- 生年月日:1979年1月
- 特技:空手(和道流初段)
- 趣味:ドライブ、ショッピング、漫画・アニメ
- 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」
経歴
- 名古屋大学、南山法科大学院を卒業
- 2009年9月 司法試験合格
- 岐阜において司法修習(新63期)
- 弁護士法人大江橋法律事務所に入所
- 2012年7月 士道法律事務所を設立
- 2026年3月 弁護士法人 士道を設立
- 2026年8月 名古屋支部を設立