士道法律事務所の示談交渉
士道法律事務所に被害者との示談交渉を依頼した場合の大まかな流れは以下のようになります。
- 委任契約書や弁護人選任届を作成する
- 弁護士費用(着手金等)を支払う
- 弁護士が捜査機関に示談交渉希望の旨を伝える
- 被害者(相手方)との示談交渉を開始する
- 被害者(相手方)と合意書を取り交わす
- 相手方に解決金を支払う
- 弁護士が捜査機関に示談完了を報告する
- 一定期間後に検察官に処分結果を確認する
士道法律事務所は刑事事件、それも示談交渉が問題となる事案のみを取り扱うという、専門特化型の弁護士の事務所の中でも特に尖ったスタイルを有する非常に珍しい法律事務所です。
当然所属する弁護士も刑事事件・刑事示談交渉しか取り扱いませんので、刑事事件・刑事示談交渉の能力だけが異様に伸びていくこととなります。
単一分野・単一業務に特化しているため、刑事事件(示談交渉)に関する膨大な過去事例のデータが蓄積されていくことになります。
これらのデータは完全にデジタル化され、事務所内で共有されるデータベースとなっています。
事務所内で共有されるアクセス自由な膨大な過去データがあり、各弁護士は刑事事件しか取り扱わない。
これによって、
「初めて関与する罪名、初見の展開というものがもはやほとんど存在しない」
という状況に至ることとなります。
特異な罪名、態様の事件の相談が持ち込まれた。
やや癖の強い相手方が厄介な要求を述べてきた。
そういうイレギュラーな事態が起きたとしても弁護士の経験に照らして、あるいは事務所内のデータベースを参照すれば過去事例で大体似た内容や状況、交渉経過を辿った事件が見つかるのです。
士道法律事務所では刑事事件の加害者側の示談交渉しか取り扱いません。
したがって、依頼者(加害者)・相手方(被害者)の属性は固定され、それぞれの行動パターンは狭い範囲に限定されてくることとなります。
過去事例をビッグデータとして観察すると、そこには明確な傾向、偏りが見て取れます。
士道法律事務所ではこれをタグ付けして分析し、統計学をベースとした示談交渉を行っています。
これは被害者の行動パターンが単純だとか、機械的に決まった対応を取ればいいとかの話ではありません。
加害者と被害者という固定化された関係がある。
刑法その他の規定で犯行態様は決められている。
罪名に応じた当事者らの属性は限定されている。
これらを前提として、示談の打診があったときに
「とりあえず弁護士の話を聞いてみようか」
と決めた人が
考えること・求めること・嫌がること・譲れないこと
そこには無数の選択肢が存在するのではなく、相当に絞られたバリエーションしか存在し得ない、ということです。
これは普段の生活の人間関係も同じことです。
「この人はこういう性格でこれを好んでこれを嫌がる。だからこうやって仲良くしていこう」
といったことを意識的にでも無意識的にでもやっているはずです。
示談交渉で接触する相手方は基本的に初めて接点を持つ人なので、家族や友人のようにその人の過去の行動を参考にすることはできません。
けれども過去の多数のパターンを分析すれば一定の流れや偏りが存在していることが見て取れ、過去の事例の中に何かしら似た傾向を持つ相手方が存在しています。
それらの過去データを参照しつつ、短期間で被害者との間に良好な関係を築き、円満な流れの中で適切に示談をまとめていく。
士道法律事務所が行っているのはそのような示談交渉です。
示談以外の方法
示談交渉の流れの過程で、
- 相手方が「示談の意思なし」と交渉自体拒否した
- 交渉を開始したが条件が折り合わなかった
- 交渉の途中で相手方と連絡が取れなくなった
といった事態が発生して示談不成立となることもあります。
この場合は示談以外の手段で不起訴や処分の軽減を目指していくこととなります。
刑事贖罪寄付
どの弁護士でもまず言及するのが刑事贖罪寄付。
これは弁護士会に一定額の寄付を行うことで
「相手方に対する償いはできなかったが、弁護士会を通じて社会に対する償いをして、加害者としても一定の経済的ダメージを負った」
ということをアピールする手続です。
この贖罪寄付も処分の軽減に向けたプラスの材料となります。
ただしそのプラス効果は限定的です。
例えば示談成立のプラス効果を「10」くらいだとすると、贖罪寄付のプラス効果は「1~2」、その程度の弱いプラス事情でしかないと見ておいてください。
ただし、この若干のプラスが結果を左右することもあるので無視はできません。
検察官への意見書
意見書は、その事件や被疑者に関する有利な事情を弁護士が書面に列挙して、
「以上から弁護人は不起訴が相当と考える」
といった意見を検察官に伝えるものです。
意見書は作成する弁護士の経験や技量によって内容が大きく変わってくることになります。
「意見書」には弁護人の『意見』が記載されますが、この『意見』自体には何の意味も効果もありません。
立場上、弁護人が述べる『意見』は
「被疑者に不起訴その他有利な処分を」
というものに決まっていますし、単なる弁護人の『意見』に検察官が恐縮平伏し処分方針を変えることなどあるわけがないからです。
意見書の重要なポイントは『意見』ではなく、
検察官が不起訴にしたくなるような材料の提示
にあります。
士道法律事務所がこの材料(事実)の中で最も重要視しているのは
「相手方(被害者)との交渉経過」
です。
要所だけ簡単に述べると、
・相手方からの過剰な要求があった
・相手方が事件に関して嘘を吐いた
・相手方が弁護士の連絡を無視した
交渉過程でこういった出来事が起きた場合はこれを意見書の中で具体的に報告します。
これを受けて検察官が
「そんな出来事があったのか。では示談はできていないようだが不起訴にしておくべきか」
と考え、実際に不起訴となったケースが複数存在しています。
意見書に記載すべきは
・被疑者にとって有利となる事情
で、かつ
・検察官が把握できていない事情
です。
捜査資料その他で検察官が把握している事情、
・犯行に至る経過や態様
・被害の程度が小さいこと
・被疑者の年齢が若いこと
・被疑者に前科前歴がないこと
こんなことは意見書に書く必要がありません。
記載すべきは検察官が把握できていない事情、
・刑事贖罪寄付を行ったこと
・再犯防止カウンセリングの受講
・事件を受けて被疑者が失職したこと
・親族による監督と具体的な再犯防止策
といったものであり、中でも重要なのが前述の
事件発生後の被害者の問題行動
ということです。
士道法律事務所では受任したほとんどのケースで示談を取りまとめてしまいます。
そのため意見書が必要となる場面は決して多くはありません。
しかし、示談が成立しないとなった場合には要点を的確に押さえた意見書を作成・提出しており、示談不成立となった事案でもうち半数程度は最終的に不起訴に導いています。
その他特殊な手段
士道法律事務所の示談成立率は、
受任事件全体で言えば約75%
相手方と話すことができた事案なら約90%
となっています。
これは
・交渉自体拒否の相手方を翻意させる方法
・過大な金額を求める相手方を説得する方法
・性格タイプごとに適切に話を持っていく方法
を確立しているからです。
そしてこれらの「難しい事案でも示談をまとめる手法」だけでなく、
「相手方が示談を拒否した事案を不起訴に持っていく手法」
もいくつか把握しています。
当たり前ですが、これはどの罪名どんな事案でも使える万能の魔法のような手ではありません。
使える場面は限られており、有効に機能させるための条件もかなり厳しいものとなっています。
ただし、不同意わいせつ・不同意性交等・傷害といった刑罰の重い罪名の事案であったとしても、発動条件さえ満たせば示談不成立でもほぼ確実に不起訴に持っていける、そういう手です。
ここで詳細は述べられませんが、伏字で一部だけお見せすると以下のような感じです。
・被害者が連絡先の開示自体を拒否した
・被害者が『示談する気は全くない』と述べた
・被害者が明らかに過大な金額を請求してきた
といった展開局面において、
①加害者が●●を持っている
②被害者の●●の●●が判明した
③被害者が●●という行動を取った
この①~③のいずれかに該当した場合に示談が成立しないことがほぼ確定したら、
慎重にタイミングを測って弁護士から●●に●●を行い、これを検察官に意見書で報告する。
本当に発動条件が厳しいので過去にこれを実行できたケースは少ないのですが。
適切な場面で正しく使えば
「こうかはばつぐんだ」
で、これを使った過去事例は全件で
示談不成立でも不起訴
となっています。
法律相談ではこのあたりも過去の解決事例を挙げつつ具体的にご紹介しています。
対面謝罪・謝罪文・反省文?
上で紹介したものとは逆に、
「他所の弁護士は推奨するけれども士道法律事務所では全く勧めないもの」
もあります。
まず加害者本人や弁護人による被害者との面談・直接謝罪。
これを推したがる弁護士は結構多いのですが。
ほとんどの被害者からすると迷惑なだけです。
実際の数字で言うと、
士道法律事務所の過去解決事例約400件のうち、弁護士または加害者本人が示談交渉の過程で被害者と直接対面したのは
僅か25件程度
です。
しかもそのうちの約半分は、
身柄事件で郵送での合意書取り交わしだと処分期限に間に合わないから
という理由で弁護士が被害者と会って合意書を取り交わした、というものです。
この数字から明らかなように、95%以上の被害者は加害者や弁護人から対面での直接謝罪を受けることなど全く望んでいません。
そんなことをしなくても示談はちゃんと成立しています。
意味がないだけならまだよいのですが。
直接謝罪を実行した場合、
・被害者側に無用の負担をかける
・余計な摩擦が生じかねない
といったマイナス面、リスクがあります。
したがって、士道法律事務所は被害者への直接謝罪は必要がない限り極力回避させており、被害者側からの強い要望があって、弁護士の説得を受けても被害者が直接謝罪にこだわる場合にのみ、これを実行しています。
次いで謝罪文・反省文の類。
士道法律事務所では
【謝罪文】=相手方宛の謝罪の手紙
【反省文】=検察官宛の反省の手紙
と定義しています。
この二つも全く無意味・無用のものです。
まず謝罪文から。
第一に、被害者は加害者の謝罪の手紙などどうでもいいと考えています。
そんなものを渡されて読んでくれと言われても気持ち悪いと感じるだけです。
第二に、被害者の琴線に響くような名文を書ける加害者など存在しません。
何度か謝罪文の添削を求められたことがありますが、どれもスカスカの内容で薄っぺらく、自己弁護と言い訳の文言がそこかしこに散りばめられています。
第三に、何が被害者にとっての地雷になるかわかりません。
どれだけ気を配って言葉を選んでも、弁護士が添削しても、最近ならAIに書いてもらったとしても、個別の被害者を満足させる理想の謝罪文を書くことは不可能です。
次に反省文。
加害者からすると、反省しているという気持ちをしっかり検察官に伝えてわかってほしいということなのでしょうが。
検察官からすれば、反省の程度を手紙などで判断すべき理由がありません。
反省の程度が知りたいのであれば、取調べで被疑者を呼び出せば済む話なのですから。
意地悪な質問を投げかけたり論理的に詰めたりすれば被疑者の底はすぐに知れ、検察官は自分の目で直接反省の程度を観察することができます。
謝罪文にせよ反省文にせよ、加害者はやたらとこれを書きたがります。
なぜならそれがお手軽で楽でお金もかからない手段だからです。
謝罪文や反省文に意味や価値があると信じている加害者は結構います。
しかし被害者や検察官の立場で見たときに、
面前で直接詰められることのない安全な場所で、
時間その他の制限もなく自由に書くことができ、
コストは紙や郵券程度でほぼ無料と言ってよく、
ちょっと手や頭が疲れる程度の労力で仕上がる。
こんなものにどれほどの価値があると言えるのか、という話です。
謝罪文や反省文など書く暇があったらその時間で隙間バイトでもして解決金を上積みするとか、時間と手間と費用をかけて再犯防止カウンセリングに通うとかした方がよほど有用です。
安易で楽な方に流れず、手間のかかること、お金のかかること、辛いことに注力してください。
それが被害者への謝罪の気持ちや、検察官への反省の態度を示すことに繋がります。
このように、士道法律事務所では何に意味があるのか、何に価値があるのかということをしっかり考えて刑事事件の弁護活動に当たっています。