傷害

傷害の加害者となったら

傷害の加害者となったら

傷害は、被害者の受傷状況等にもよりますが、逮捕・勾留にまで至ることがあまりない類型の犯罪です。
傷害の刑罰は幅広い設定となっており、長めの拘禁刑から比較的低額な罰金刑まで選択可能な範囲が広く、示談が成立しなければ略式起訴が高確率で選択されるため、不起訴を目指すには被害者との示談がかなり重要となります。

傷害は士道法律事務所の受任事件の中で四番目に件数が多い罪名で、全体の約10.5%を占めます。
過去の解決事例においては、酔っ払って乗客や店員に暴力を振るった、駅や電車で些細なトラブルから手を上げた、友人とふざけているときに予想外に大きな怪我をさせてしまった等、傷害の一般的な犯行態様パターンが網羅されています。
傷害の事案においては適切確実な示談の成立が今後の人生を大きく左右してくるので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

傷害の概要

人の身体を傷害した場合には傷害の罪に問われることとなります。
傷害は暴行の加重類型、上位概念のようなものとして位置づけられています。
傷害に至る加害行為の態様は基本的に暴行と共通しています。
相手方が怪我をすれば「傷害」、怪我をするに至らなければ「暴行」です。

士道法律事務所に持ち込まれる傷害の犯行態様は主に以下のものです。

(A)酒に酔って店員、バーの客、タクシー運転手に暴力を振るう
(B)駅や電車での些細なトラブルから相手方に暴力を振るう
(C)部下や友人に対して指導や遊びの過程で暴力を振るう

傷害の事案の約4割は酒に酔って暴力を振るったという類型の(A)。
3割強が面識のない相手とのトラブルで手を出した(B)、3割弱が元々面識のあった相手に手を出したという(C)です。
類型ごとにどういうタイプの被害者が交渉相手として出てくるかにはかなり際立った特徴があり、類型によって示談の難易度等も変化します。

傷害に関するデータ

加害者・被害者の属性

加害者の性別は男性が約97.5%、女性が約2.5%。
被害者の性別は男性が約約80.0%、女性が約20.0%。

交渉拒否率

約10.0%

被害者の連絡先開示がなされず、交渉開始自体が不可能なのは10件に1件程度の割合です。
全体平均(約18.2%)を大きく下回っており、傷害は交渉を開始しやすい罪名となっています。

示談成立率

約72.5%(交渉可能な事案では約88.9%)

傷害事件全体の示談成立率は約72.5%です。
一方、交渉拒否のパターンを除いて、士道法律事務所の弁護士が相手方と交渉を開始できた場合の示談成立率は約88.9%です。

処分内訳(不起訴率)

非事件化 0%
不起訴 約75.0%
略式 約16.7%
公判 約8.3%

傷害事案は、刑事事件化する前に終了あるいは不起訴の、「前科が付くことなく終結」の割合はやや低めで、全体の75%程度となっています。
これは、主に前記
(B)駅や電車での些細なトラブルから相手方に暴力を振るう
のパターンの場合、怪我の程度は些細なものだが相手方が過剰要求をしてくるケースが多く、示談は不成立となり検察官が比較的安易に略式起訴を選択することによるものです。

示談の重要性

示談の重要性

傷害は示談成立率が全罪名平均と同程度、示談の成立しやすさも並程度の罪名となっています。

傷害は罰金刑の設定があることから、示談不成立の場合に検察官が略式起訴を選択する可能性が高くなります。
そのため、傷害においては示談の重要性が高くなります。

きちんと手順を踏めばちゃんと交渉を開始できて、交渉を開始できれば示談がまとまる公算が大で、示談がまとまればまず不起訴、これが傷害と示談の関係性です。
示談ができなかったとしても次善の手を講じていけば十分不起訴が狙え、不起訴が無理であったとしても略式には落ち着く可能性が高いところではあります。
しかし、略式といえど前科が付くことには変わりないので、前科回避を目指すなら示談にきちんと取り組むことが重要となります。

傷害の固有の特徴

パターンによって交渉経過の摩擦係数が変わる

暴行同様に、
(A)酒に酔って店員、バーの客、タクシー運転手に暴力を振るう
(B)駅や電車での些細なトラブルから相手方に暴力を振るう
この2パターンにおいては(B)の方がより交渉の厄介度が増します。

理由は暴行と全く同じで、双方が特定の性格の持ち主である場合にのみ衝突が発生するからです。

なお、傷害においては暴行では見られなかった
(C)部下や友人に対して指導や遊びの過程で暴力を振るう
のパターンが比較的多く見られます。
このパターンの場合、高確率で被害者は(その傷害事件とは直接的に関係のない)過去の加害者とのトラブルや加害者に対する不満を述べてきます。
事件まで面識がなかった者同士というパターンに比べて積年の恨みというものが出てきやすいので、交渉の摩擦係数は跳ね上がる傾向にあります。

他の罪名とセットになった場合に危険度が跳ね上がる

傷害の構成要件は極めてシンプルで、
「人の身体を傷害した」
つまり、暴行を加えて(医師の加療を要する程度の)怪我をさせた、というものです。
構成要件がシンプルであるがゆえに、全く方向性の異なる別の犯罪を犯したときに傷害の結果もついでに一緒に発生してしまう危険が高いということです。

例えば、窃盗との組み合わせだと「強盗致傷」に、
不同意わいせつとの組み合わせだと「不同意わいせつ致傷」に、
不同意性交等との組み合わせだと「不同意性交等致傷」に、
逮捕監禁との組み合わせだと「逮捕監禁致傷」に、
いずれも刑罰が跳ね上がります。

士道法律事務所の過去事例で実際にあったもので言えば、
「酔っぱらってタクシーに乗り、降りるときに料金を払わず、そのまま立ち去ろうとしたところにタクシー運転手が追いすがってきて、これに暴行を加えて怪我させた」
というものや、
「痴漢をした後に逃走しようとしたところ、被害女性が追いかけてきて手を掴まれ、これを振り払ったら被害女性が転倒して怪我をした」
といったものがあります。

こういったケースでは、窃盗やわいせつの被害に加えて傷害の被害も乗ってきますし、刑罰が重くなるということを被害者の方でも認識しやすくなるので、示談が難航したり解決金額が高くなったりします。

傷害の解決事例

傷害は当事務所の中でも取り扱いの多い罪名の事案です。
過去の解決事例は

にて紹介していますので、必要に応じてご確認ください。

Q&A

相手から先に手を出された場合でも罪になりますか?

相手から先に手を出された場合でも、反撃によって相手に怪我を負わせれば傷害罪に問われる可能性があります。
いわゆる「喧嘩両成敗」として双方が被害届を出し合うケースもあります。
正当防衛が認められるには、反撃が必要最小限であったことなどの要件を満たす必要があり、単に「先に手を出されたから」という理由だけでは認められないことが多いです。

被害届を取り下げてもらえれば起訴されませんか?

傷害罪は親告罪ではないため、被害届が取り下げられても検察官の判断で起訴される可能性があります。
ただし、被害届の取下げは被害者の方が処罰を望んでいないことを示すものであり、不起訴の判断に有利に働きます。
示談交渉においては、被害届の取下げを含む合意を目指すことが一般的です。

相手に重傷を負わせた場合、示談しても起訴されますか?

被害者の方に重傷を負わせた場合は、示談が成立しても起訴される可能性があります。
ただし、示談が成立していることは、裁判において有利な情状として考慮されます。
起訴された場合は、執行猶予判決の獲得を目指して公判弁護を行います。

正当防衛は認められますか?

相手からの攻撃を防ぐためにやむを得ず反撃した場合、正当防衛が認められる可能性があります。
ただし、正当防衛が成立するためには、相手の攻撃に対して必要最小限の反撃であったことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
正当防衛の主張が認められるかどうかは、事件の具体的な状況によって判断されます。

構成要件・刑罰・条文

【刑罰】
15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

【条文】
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:熱帯魚の飼育、温泉旅行
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業後、司法試験に合格
  • 岐阜での司法修習を経て、大阪弁護士会に登録
  • 弁護士法人大江橋法律事務所で弁護士業務の基礎を学ぶ
  • 同事務所退所後、岡田和義法律事務所に移籍
  • 岡田和義弁護士の引退に伴い、士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道 設立

所属

  • 大阪弁護士会
  • 大阪弁護士会 交通事故委員会
  • 大阪弁護士会 遺言・相続センター運営委員会
  • リーガルアクセスセンター(LAC)登録弁護士

大阪本部 06-6365-7650

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