弁護士コラム

痴漢と言われたときには

2022.08.24

「痴漢しましたよね!?」と言われたらどう行動するのが正解なのか。
よく候補に挙げられる対応は

①逃げる
②名刺を渡して立ち去る
③おとなしく警察署に行く

といったところでしょうか。

まず①は逃走を完遂させねば意味がありません。
相当な身体能力と体力が求められ、無数に存在する監視カメラをかいくぐる必要もあります。
到底現実的とは思えません。
逃亡の過程で被害者や通行人を怪我させたり線路に飛び降りて電車を停めたりすれば別の罪にも問われ巨額の賠償金が追加で乗ってくる可能性も。
逃亡を図ってホームから飛び降りた被疑者が死亡したケースもあります。
そして捕まったときは「やってないならなぜ逃げた」と言われ、本来は逮捕だけで済んだはずが勾留までされて社会的死の危険が高まる。
リスク高過ぎです。

次に②、その人のものかどうかもわからない名刺など受け取って犯人(らしき人)がその場を去ることを許す被害者などいるのでしょうか。
引き止められて結局①か③になるのがオチです。
しかもこの場合、本来なら被害者に知られずに済んだはずの勤務先を知られてしまうというオマケがついてきます。

というわけで消去法から③しかありません。
ポイントは「痴漢です!」と言われた時点で『周囲の乗客を巻き込むように触っていないことを理由とともに大声で告げる』ということ。
注目を集めて目撃者や真犯人が離散してしまうのを防ぐためです。

逃げる素振りを見せてはいけません。
逃げようとすると被害者や通行人は追いかけて捕まえようとします。
すると現行犯人逮捕が成立し、警察が来た時点で逮捕状態の引継となってしまいます。
やったやってないの言い争いに留まっていれば警察が来ても任意同行となる可能性が多少残るのです。

警察署に行った後は状況と展開次第です。
「故意ではないが当たったかもしれない」と示談交渉を試みるか、刑事裁判も視野に入れて否認の態度を貫くか。
弁護士とよく相談して決めてください。

以上は「触っていない」場合の対処法です。
本当に触った場合は余計な弁解も抵抗もせず素直に認めてください。
そうすれば逮捕されても一日二日の短期間で済みます。
そして示談をまとめれば前科多数というのでない限りまず不起訴となります。
その後は猛省して二度と痴漢などしないでください。

(『蒼生 2022年7月号』掲載記事)

弁護士 飯島 充士 Iijima Atsushi

執筆者

士道法律事務所 Shidoh Law Office

弁護士飯島 充士 Iijima Atsushi

プロフィール

  • 生年月日:1979年1月
  • 特技:空手(和道流初段)
  • 趣味:熱帯魚の飼育、温泉旅行
  • 座右の銘:「人間万事塞翁が馬」

経歴

  • 名古屋大学、南山法科大学院を卒業後、司法試験に合格
  • 岐阜での司法修習を経て、大阪弁護士会に登録
  • 弁護士法人大江橋法律事務所で弁護士業務の基礎を学ぶ
  • 同事務所退所後、岡田和義法律事務所に移籍
  • 岡田和義弁護士の引退に伴い、士道法律事務所を設立
  • 2026年3月 弁護士法人 士道 設立

所属

  • 大阪弁護士会
  • 大阪弁護士会 交通事故委員会
  • 大阪弁護士会 遺言・相続センター運営委員会
  • リーガルアクセスセンター(LAC)登録弁護士

大阪本部 06-6365-7650

お問い合わせ