弁護士コラム

弁護士が解説する刑事事件の流れ(1)~刑事手続の全体像~

2016.10.03

刑事手続はどのように進んでいくのでしょうか。
このコラムでは、何回かに分けて刑事事件の流れと、どの時点でどういう対応を取れば最悪の事態を回避できるのか、弁護士は専門家としてどのような活動を行っているのかといったことを解説していきたいと思います。

第1回目は、刑事事件の大まかな流れの説明です。
個別の手続の説明に入る前に、まずは手続の全体像を把握しておきましょう

刑事事件の基本的な流れは、概ね次のようなものです。
ここでは比較的よくあるケース、例えば窃盗・暴行・傷害・覚せい剤使用といった比較的軽微な犯罪(裁判員裁判の対象ではない事件)で、さほど複雑でない事案(争点整理が必要ない事件)を想定しています。
矢印の右に書いてあるのは、各手続に要する時間の目安や期間制限です。

1.犯罪事実が捜査機関に発覚し、捜査機関(警察官)の捜査が開始する。
↓即時~数か月程度
2.警察官が事件の関係者と思しき人(被疑者含む)から事情を聴く。
↓即時~数か月程度
3.身柄拘束が必要な場合、警察官が被疑者を逮捕する。
↓48時間以内
4.更なる身柄拘束が必要な場合、被疑者を勾留する(被疑者勾留)。
↓10日~20日以内
5.検察官が被疑者の処分(起訴・不起訴・勾留延長等)を検討する。

6.起訴の場合、被疑者は「被告人」となり、勾留が継続する(被告人勾留)。
↓1か月~数か月程度
7.第1回公判期日が開かれる。
↓1週間~1か月程度
8.判決(無罪・執行猶予・実刑等)が言い渡される。
↓1か月程度
9.懲役の実刑判決の場合、刑務所に収監される。

上記はよくあるケースを想定したものなので、事件の性質、軽重、被疑者の状態等によって手続の流れは変化します。

弁護士が就任するタイミングは、国選なのか私選なのか、被疑者国選対象事件なのかどうかによって若干変わりますが、パターンとして最も多い被疑者国選なら上記「3」~「5」の間となります。

被害者が存在する事件で、示談交渉を検討するなら、通常は上記「1」~「5」の間となります。

勾留を解くための「保釈」ができるのは上記「6」~「8」の間となります。

次回から、各手続の具体的な内容や、その時点で被疑者・被告人が取るべき対応について解説していきます。