梅雨も佳境に入り、しとしと雨の日が続いています。
さて、梅雨時分を含めて何かと嫌われることも多い雨ですが、雨の日の挨拶で、
「本日は良いおしめりで。」
というものがあるのだとか。
正直なところ、私はこの言葉を直接耳にしたことはありません。
おそらく、現代ではあまり使われることのなくなった言い回しなのでしょう。
ですが、雨を単に厄介なものとして忌み嫌うのではなく、その用益や風情から肯定的に捉えるこの言葉には、どこか心惹かれるものがあります。
たとえば、水滴にきらめく紫陽花の花など、この時期にしか見ることのできない美しい風景はそこかしこに隠れています。
傘を打つ雨音に耳を傾けながら、水に包まれた街や自然にいつもと少し違った目を向けてみたら、そこに「良いおしめり」を感じることができるのかもしれません。