弁護士コラム

明けましておめでとうございます

2016.01.05

新年明けましておめでとうございます。
今年が皆様にとって良い年となるように、少しでもお力になることができればと願う次第であります。

さて、昨年に引き続き、平成27年(2015年)の相談事件の統計データを少し検討してみたいと思います。

昨年からデータの取り方の試行錯誤を重ねており、現在では、
「有効相談率(=お問い合わせから来所しての相談に結びついた割合)」
「受任率(=来所しての相談が受任に結びついた割合)」
「流入経路(=相談者がどのようなルートで相談に至ったのかの分類)」
というデータを集積しています。

まず、「有効相談率」について。
これでわかるのは、「1年の問い合わせ件数」と「その中で法律相談に結びついた件数」です。
5月以降のデータしかないので推測値となりますが、「1年の問い合わせ件数」は約380件でした。
1日1件以上は問い合わせがあった計算となり、競争が激しい大都市で当事務所のような弁護士1人体制の法律事務所としては、かなり高い数字と言えます。
次いで、「法律相談に結びついた件数」は約140件。
「有効相談率」は約36%となっています。

全問い合わせのうち、3分の2程度は来所しての相談に至らなかったということになります。
その理由としては、次のようなものが挙げられます。

・電話での法律相談希望だった(当事務所では電話による法律相談は行っていません。)
・相談したいことが法律問題ではなかったor弁護士では解決できない類のものだった
・問い合わせの時点で弁護士が介入するほど事件が具現化していなかった
・弁護士が多忙で直近の予定が合う日程がなかった

最後のものについては、どうしても弁護士1人で対応できる業務には限りがあるため、むやみに手を広げて1件1件の仕事の質を下げるよりは、と問い合わせから1週間ほど先の日程をご案内することも増えています。
それに連動する形で、弁護士が対応するほどではない案件の相談要請については、その旨説明して別の相談機関を紹介したり、もう少し事件性が増してからのお問い合わせをお願いしたりしています。
現在、当事務所では、初回1時間程度を無料法律相談としてじっくりお話を伺うようにしていますが、問い合わせ件数の推移によっては、相談時間の短縮を検討することとなるかもしれません。

次に「受任率」について。
これでわかるのは、「法律相談件数」と「その中で受任に結びついた件数」です。
一昨年まで「受任率」は50~60%の範囲で推移していましたが、昨年は約34%となりました。
大体これは一般的な法律事務所の受任率(3割程度)と一致するものです。
「受任件数」は、一昨年とさほど変わりありません。
「受任率」が下がったのは、「法律相談件数」が一昨年の約1.3倍に増加したことによるものです。

事件の種類別で見ると、「受任率」が高いのは任意整理(約80%)、交通事故(約50%)、不動産(約45%)です。
逆に「受任率」が低いのは、労働(約20%)、遺言相続(約20%)、離婚(0%)です。
これは、当事務所の「問い合わせ件数」も大きく影響しています。

例えば、労働問題は、受任件数そのものは一昨年から倍増していますが、受任率は半減しています。
つまり、「問い合わせ件数」が約4倍になったということです。
労働問題で一定の評価をいただき、それが問い合わせ件数の増加につながっているのですが、問い合わせ件数が増えるとどうしても弁護士費用のコストに見合わない事件の割合が増えて、コストとリスクをきちんと伝えると、十人には至らず法律相談のみで終了するケースが増えてくる、ということです。

一方、離婚問題について言えば、元々これは当事務所が得意とする分野ではなく、どちらかと言えば力を入れていない分野であるため、「問い合わせ件数」自体が少なく、受任に至ったものもなかった、ということです。

最後に、「流入経路」について。
経路は、「ウェブ」「紹介」「弁護士会」「リピーター」「その他」に分類しています。

やはり、圧倒的に多いのは「ウェブ」です。
1人1台スマホを持つのが当たり前のこの時代、弁護士に縁のない方が第一に頼る手段がサーチエンジンによる検索ということでしょう。
当事務所の主な活動の場が大阪という大都市であることも影響している可能性が高いと言えます。
「ウェブ」経由の相談は、一昨年と比して2倍、3-4年前との比較だと約10倍にも増加しています。
圧倒的な相談件数の割に「受任率」が低いというのもこの経路の特徴です。

「紹介」「弁護士会」「リピーター」は平年とほぼ変わらずといったところです。
相談件数は「ウェブ」と比べると少ないですが、受任率は65~75%とかなり高い数字を出しています。
当事務所の過去の依頼者から話を聞いて端から依頼を決めている人、どの程度なら弁護士に任せればよいかわかっている人(顧問先、リピーター等)が多いため、自然と受任率は高くなるということです。

こうしてデータを観てみるとまた新たな課題も浮き彫りになってきます。
より依頼者の期待に応えられる事務所となるために、こうした統計データも有効活用して、さらなる進歩を重ねていきたいと考えています。

皆様、今年もどうか士道法律事務所をよろしくお願いいたします。