弁護士に事件を依頼したときに、弁護士と依頼者との間でもトラブルが発生してしまうことがあります。
弁護士と依頼者、それぞれの問題点を2回に分けて、どういう点に気をつければよいのかを見ていきましょう。
今回は弁護士側の問題です。
①事件放置する弁護士
弁護士の懲戒事例で多いのがこれです。
正当な理由なく受任から数か月、ときには数年間ほとんど何もしないというものです。
弁護士の処理能力が低下したり、事件数が多過ぎたりして事件管理ができなくなっていると、事件放置は起きやすくなります。
半年~1年経っても進展がない場合、今の弁護士を解任して次の弁護士を探した方がよいでしょう。
②話を聞かない弁護士
依頼者の話を聞かない、相手方の話を聞かない、裁判所の言うことを聞かない弁護士です。
5、60代くらいのベテラン弁護士に特に多い印象です。
特徴としては、態度が鷹揚、「自分に全て任せておけ!」と見栄を切る、事務所内の最年長、といったものが挙げられます。
自信ありげで頼もしく見えることもありますが、事案の詳細を把握していなかったり、依頼者に断りなく手続を進めたり、勝手に和解を締結したりしてトラブルとなります。
法律相談の際に横柄な態度を感じたら、依頼は一旦保留して別の事務所も回ってみるべきです。
③横領する弁護士
犯罪行為であり論外です。
横領の対象となるのは遺産、成年後見の管理財産、債務整理の弁済原資、債務者から回収した金員等の預り金です。
よくあるのは、依頼の減ってきた高齢の弁護士が事務所経費や生活費を捻出するために預り金に手を出して、自転車操業を続けて破綻するパターンです。
見分けるポイントは、事務員の表情が暗い、事務所の空気がどんよりしている、言い訳が多い、依頼者に借金を申し込む(禁止行為です)等です。
いずれも予兆はあるので、違和感覚えたら弁護士の変更を検討すべきでしょう。
味方のはずの弁護士に損害を与えられてはたまりませんから、弁護士の対応をよく観察して危険回避することが重要です。
次回は依頼者側の問題を挙げて、適正な事件処理のために依頼者が注意すべき点を見ていきます。
(『蒼生 4月号』掲載記事)