この原稿を書いている平成25年12月現在、ドラマ「リーガルハイ(2期)」が最終回を迎えております。
実務と異なる点は当然多々ありますが、弁護士の視点から見てもとても面白いです。
こういった弁護士ドラマ等を見て、裁判でも傍聴してみようかと思い立つ方もおられるかもしれません。
傍聴は基本的に自由です。
予約は不要ですし、身分確認もありません。
ふらっと訪れて、開廷している適当な法廷に入り、好きな席に座って裁判の様子を見聞きするだけです。
他人の裁判を眺めるだけというのもなかなか面白く、手軽に非日常的な雰囲気を味わえるため、傍聴マニアというものも存在します。
今回は傍聴に行く際の注意事項をいくつか。
まず、傍聴自体は基本的に自由ですが、一応厳粛な場ですので、その空気を乱す人間は裁判官によって排除されます。
突然叫んだり、法廷内をウロウロしたりするのは論外としても、「居眠りをしている」「ニヤニヤするのを止めない」といった理由で退廷させられた傍聴人もいました。
裁判官から直々に「出て行け!」と言われるのはなかなか恥ずかしいので、なるべく神妙な態度でいた方がよいでしょう。
次に、傍聴するなら刑事裁判が絶対にお勧めです。
というのも、民事裁判ではリーガルハイのように弁護士が滔々と主張を展開したり、尋問で演説よろしく自己主張したりすることはありません。
主張は書面でやり取りし、尋問も必要なポイントに絞って聞くので、部外者からはどういう事件で何をやっているのか、ほとんどわからないまま手続が進行します。
その点、刑事裁判は冒頭で検察官が概要を述べてくれます。
尋問で泣き崩れる証人もいれば、悲しい過去や境遇を語り、あるいは異次元の弁解を展開する被告人もいます。
運が良ければ、最後に裁判官が胸熱な訓辞説教で締めてくれることもあります。
各当事者が虚実ないまぜに役割を演じている様は、ちょっとした舞台劇と言ってもよいかもしれません。
課外授業で傍聴に来ている中高生を見かけると、「異議あり!」などとサービスしたくなりますが、そうそう異議など述べる機会はなく。
せめてもと声を張って、多少なりともドラマ的弁護士を演じられるようにしています。
弁護士も(おそらく裁判官も検察官も)観客がいた方が気合も入りますので、興味のある方はぜひ傍聴に出かけてみてください。
(『蒼生 1月号』掲載記事)