弁護士コラム

弁護士との顧問契約のメリット・デメリット

2012.11.02

会社には、経営コンサルタント、税理士、社労士、弁護士、といった顧問がついていることがあります。例えば、税務などは会社の経営上切り離せないものなので、顧問税理士を置く必要性はわかりやすいといえるでしょう。
では、弁護士との顧問契約にはどういうメリット、デメリットがあるのでしょうか。

【顧問弁護士を置くメリット】

(1)法律相談が無料となって将来の紛争を防げる

顧問契約を結ぶと、通常30分5,000円程度の法律相談が無料となります。無料となることで、ちょっとしたことでも気軽に顧問弁護士に相談できるようになり、トラブルの芽を事前に摘み取る可能性が高くなって、紛争リスクの低減につながります。
また、普段から色んなことを相談していれば、あれこれ一から説明することなく、阿吽の呼吸でテキパキ対策を講じることも可能になります。

(2)いざというときの弁護士費用が安くなる

顧問契約を締結していると、弁護士に具体的な事件を依頼することになったとき、割引を受けることができます。
つまり、顧問契約は保険のような性質を持っているといえます。
トラブルが起きることがほとんどない、揉めても自力で解決できる、という会社であれば、これは大きな利点にはなりません。
しかし、売掛金の払いが滞りがちな取引先がある、賃借人の賃料不払いに頭を悩ませている、大きな金額が動く取引を行っているのでトラブル発生時のダメージが大きい、といった場合には、トータルで見たときにかなり有用なコストカット策となります。

(3)対外的な信用度が上がり取引先への牽制にもなる

取引において何より大事なものが「信用」です。
信用は、地道な積み重ねによってのみ得られるものですが、そういった積み重ねの1つとして、例えばHPに顧問弁護士の存在を記載しておくことで、「弁護士の監督が入っているなら違法、不当なことはしないだろう。」と、プラス評価を得ることが期待できます。
また、必ずしも誠実とはいえない取引先に対しては、「下手なことをすると弁護士が出てくる」といった牽制効果を与えることもできます。

(4)従業員の福利厚生として利用できる

これを明確に掲げる法律事務所はさほど多くはないのですが、役員や従業員の個人的な法律相談の機会を設けることで、社内の福利厚生に利用することができます。
当事務所では、顧問先の従業員等を対象とした無料法律相談を定期的に開催することで、私生活上の問題が業務に影響を及ぼすことがないようにサポートするべく、無料法律相談の試験運用を行っております。

【顧問弁護士を置くデメリット】

(1)毎月固定で顧問料を支払わなくてはならない

弁護士を全く使わなかったとしても、顧問料は支払わなくてはなりません。
顧問料は月額5万円~としているところが多く、会社の規模によっては無視できない負担となります。
このような固定費が発生することはデメリットの1つと言えます。

(2)他の弁護士を使う可能性が制限される

別に顧問契約を結んだからと言って、他の弁護士を使えなくなるわけではありません。
ただ、その弁護士を定期的に使うために顧問契約を結ぶわけですから、普通は顧問契約を結んでいる限り、顧問弁護士を使い続けることになります。
そのため「弁護士を使う必要が生じたときに、その問題を解決するのに最も適した弁護士を選んで使いたい」という方には、顧問契約は適さないということになります。

【顧問弁護士を入れるべきか】

顧問弁護士を入れるかどうかは、上記のメリットとデメリットを秤にかければよい、ということになりますが、結局のところ、月額顧問料というコストに見合う価値を見出すことができるか、ということに尽きることとなるでしょう。
価値の部分は、「将来のリスク軽減」と「相談等による弁護士の利用」に大別されますが、保険による安心に価値を見出す方は前者に、目に見える対価サービスに重きを置く方は後者に注目して判断されるとよろしいのではないでしょうか。

顧問契約に関して、不明な点があれば随時お答えいたしますので、
「法律問題が多いので、新しく顧問契約を結ぶことを考えている。」
「現在の顧問弁護士に問題があり、顧問を切り替えたい。」
といったことを検討されている方は、お気軽にご相談ください。