弁護士コラム

「士道」とは

2012.09.27

当事務所の名前である「士道」については、事務所HPのトップにも記載しています。

もっとも、「士道」という言葉に明確な定義があるわけではありません。
「士道とは」などの検索ワードで検索をかけると、色々なものが出てきます。

例えば、一番有名なものとしては、新撰組局中法度の一、
「士道ニ背キ間敷事(士道に背きまじきこと)」
があります。
新撰組隊士を規律するための最も重要だった鉄の掟ですね。
ここでの「士道」とは、「命の代えても守るべき、武士としての魂」と言えましょうか。

映画「男たちの大和」では、武士道と士道の違いについて尋ねられた士官が、
「武士道とは、見返りを求めず死ぬ覚悟。士道とは、死ぬ覚悟を内に秘め、恥じないように生きる覚悟。」
と答えるシーンが出てきます。

また、高橋ツトム氏の漫画「SHIDOH/士道」は、幕末を舞台に架空の人物や設定を取り入れた作品です。
作中を通じて描かれる雪村兄弟の生き様そのものが、高橋氏の考える「士道」と言ってよいでしょう。

私が「士道」を事務所の名前に掲げたのにはいくつか理由があります。
自分の名前に「士」がついているということもありますし、短く発音しやすい名前にしたかったというのもあります。
(長い名前は覚えてもらえにくいだけでなく、電話応対や書面作成のときにとても困るのです…)

その中で特に大きかったのが、
「ある種の美学を持って仕事に当たりたい」
という想いがあったことです。

これまで目にしてきた弁護士の中には、尊敬できる素晴らしい方もいれば、人としてどうかと思う方もいました。
弁護士の仕事は、基本的には色々な問題をお金に置き換えることと言ってよいでしょう。
ですが、悩みを抱えて相談に来られる方にとってしばしば重要な問題となるのは、気持ちの問題です。
その部分を十分に汲めず、機械的に事件を処理するだけでは、弁護士として不十分だと思うのです。

単なる数字の処理者とならないように。
己の美学に恥じることがないように。
「士道法律事務所」とは、そういう願いや決意を込めてつけた名前です。

なかなか言葉にするのは難しいのですが…
袖振り合う方々に、私の考える「士道」が伝わるような生き方をしていきたいものです。