
「刑事事件の被疑者(加害者)になった! どうしよう」
というときにネット検索をしていて真っ先に出てくるのが
【示談】
です。
士道法律事務所が最も得意とするところで、不起訴処分や刑罰軽減に最も大きな効果を有するものですね。
この「示談」に次いでちらほら散見されるのが
【贖罪寄付(刑事贖罪寄付)】
というもの。
これ、簡単に言うと
①被害者が存在しない事案(薬物事犯等)
②示談不可の事案(国に対する詐欺、公務執行妨害、示談を拒否された事案等)
において、
被害者にお金を払う代わりに弁護士会に寄付をすることでプラスの情状としてもらう手続
のことです。
被害者に対して被害弁償、償いをすることはできなかったけれども、その代わりに弁護士会を通じて社会に対する慈善事業にお金を使いました、これによって加害者自身も一定の経済的ダメージを負いました、という体裁です。
士道法律事務所でも示談ができなかった場合にはこの贖罪寄付を検討します。
ここでたまに受けるのが、
「贖罪寄付って意味あるんですか?」
という質問。
もうちょっとわかりやすくぶっちゃけた直球で言い換えると、
「示談がまとまらなかったのに贖罪寄付なんかで不起訴になるんスか?」
となります。
実際のところどうなんでしょうか?
タイパを追及する現代人のために、先にサクッと結論を述べておきます。
贖罪寄付で起訴が不起訴に転じるケースは『ある』。
ただし、その有効性はその事案の内容や状況による。
ここからもうちょっと踏み込んで説明していきます。
まず、不起訴処分を目指す際に最も有効な手段は「示談」。
これは揺らぐことのない事実です。
何しろ刑事事件の反対当事者である被害者が
「加害者を赦してもいい」
と言っているわけですから、これ以上のプラス事情は存在しません。
(もっとも、「示談が成立すれば絶対に不起訴になるというわけではない」という点には注意が必要ですが)
この「示談」ができない場合、次善の手段として他の手を講じることになります。
ざっと列挙すると以下のようなところです。
・金銭のみの賠償
・刑事贖罪寄付
・供託
・再犯防止カウンセリング
・意見書
これらには優位・劣位の関係、択一的な関係、併存相乗の関係といったものがあります。
例えば、「示談」「金銭のみの賠償」「刑事贖罪寄付」「供託」はこの中のどれか一つだけやればよく、効果に差があります。
「再犯防止カウンセリング」や「意見書」は他との併存が可能なので組み合わせて使うことになります。
大雑把に強弱関係を示すとこんな風になります。
示談>>金銭のみの賠償>>>>>刑事贖罪寄付≧供託≧再犯防止カウンセリング
ちなみに「意見書」は立ち位置が特殊で、事案や交渉状況によってその価値が大きく変動します。
少なくとも士道法律事務所で作成している意見書はそういう性格を有しています。
というのも、他の弁護士や他の法律事務所が作成する「意見書」と、士道法律事務所で作成している「意見書」には大きな差異があり、
〇〇〇との〇〇〇〇の結構詳細な〇〇
をかなりの分量を割いて記載しているからなのですが。
これが記載事項として出てくるか出てこないかはケースによるので立ち位置も変わってくる、ということです。
この点は興味があれば士道法律事務所の法律相談の際に弁護士に尋ねてみてください。
話を戻しましょう。
このように優劣を見ていくと、「贖罪寄付」の影響力はさほど大きくないということがわかります。
例えば、「示談」のプラス効果を「10」だとします。
これに対して「金銭のみの賠償」のプラス効果は「7~8」くらい。
「贖罪寄付」は「1~2」くらいのイメージです。
「え、そんだけしかプラス効果ないならやっぱ意味ないんじゃん!」
こんな風に考える人もいるでしょう。
でも違います。
「1~2」の『プラス効果』がある。
この点が重要なのです。
どういうことか。
これ、逆の方向から考えるとわかりやすいのですが。
例えば、大量殺人を犯した犯人がいたとして。
その犯人が、仮に被害者遺族全員と完璧な示談ができたとして。
だからといってその大量殺人犯を不起訴にしていいという話にはなりませんよね?
示談は不起訴の効果を確定的に発生させる免罪符ではないからです。
同様に、「示談が成立していないこと」は不起訴を排斥する絶対的な理由になりません。
検察官が起訴・不起訴を判断する際には、
その事件に関するすべての事情
を考慮対象とします。
罪名や被害の程度は当然として、犯行に至る経緯、犯行態様、事件後の出来事、被疑者の身上経歴、全ての事情です。
示談はその中でも大きな比重を持つ要素ではありますが。
それでも「一要素」に過ぎないので、示談が全てを左右するというわけではない、ということです。
士道法律事務所は刑事事件の示談交渉だけを取り扱うという、かなり珍しい弁護士の事務所です。
何しろ刑事事件の示談交渉しか取り扱わないので、この分野・この業務についてだけ異様に能力が研ぎ澄まされています。
しかも、競合となる他の刑事系の法律事務所はどこも数人~数十人の弁護士を抱える、複数の支部を有する弁護士法人なのですが、士道法律事務所に在籍している弁護士は飯島充士弁護士ただ一人です。
つまり、このたった一人の弁護士に士道法律事務所の刑事事件の示談交渉業務が集中しているということです。
その結果、何が起きているかと言うと。
刑事事件の示談交渉に専門特化するようになってから約5年。
最近は受任した事件のほぼ全てをパターンで捉えることができるようになってきています。
イメージ的に言うなら、漫画「キングダム」の著雍戦において、主人公のライバルでもある王賁が魏火龍七師の一角、槍の紫伯と死闘を繰り広げた末に紫伯の攻撃を「型」で捉えられるようになってこれを討ち果たした、という感じですかね。
……わかる人にしかわからないネタで恐縮ですが。
話を本線に戻しましょう。
では示談交渉事案をパターンで捉えられるようになると何が起こるか。
例えば、示談交渉の相手方(被害者)の行動パターンは有限であることがわかってきます。
これは何も別に被害者のことを単純だと馬鹿にしているわけではありません。
〇〇という罪名の事案であれば、被害者はこういう状況でこんな被害に遭っている、という共通項が必然的に生じる。
誰が交渉窓口になるかについては、被害者本人が最も多く、次いで配偶者か親、たまに彼氏や自称「友人」が出てくる。
それぞれがどういう態度で何を言ってくるかには多少の幅があるが、基本的には性格と社会的属性によって分類される。
各被害者(あるいはその親族等)が何に重きを置くかは、大別すると「金銭」「情」「正義」に区分されてそれぞれに正解が異なる。
こういったことが統計データ上から見えてきてしまうのです。
同様に、示談交渉の展開や検察官の基本的な考え方も統計データとして数値化されていきます。
例えば、
「盗撮、不同意わいせつ、不同意性交等といった性犯罪において、被害者の連絡先が開示された場合の示談の成立率は約93.1%」
「これらの性犯罪においては約4%の確率で『示談交渉途中で被害者と連絡がつかなくなる』という事態が発生する」
「この場合には〇~〇万円の贖罪寄付を行って、交渉経過の詳細を記載した意見書を提出すればほぼ100%不起訴になる」
というように。
また、検察官も機械ではなく人間なのでそれぞれに個性があります。
とっつきにくい人、気さくな人、示談に協力的な人、非協力的な人。
どの検察官であっても、
「贖罪寄付を〇円やったら不起訴にするよ」
なんてことを明言する人はいませんが、
「このくらいまでだったらまぁ言えるかな、あとは何となく察してね」
といった匂わせ程度ならしてくれる検察官もいます。
つまり、どういうケースであれば贖罪寄付の若干のプラスを加えることで不起訴のラインを超えるかということは、統計データという経験則からも、検察官の対応からも、ある程度推察することができるということです。
ちなみに、不起訴は刑事事件における唯一の勝利条件ではありません。
本来は公判請求であったところを略式起訴に落としてもらえたとか、実刑が視野に入ってくるところがギリギリ執行猶予にできたとか、こういった場面でも贖罪寄付が有効に働くことはあります。
というわけで最後のまとめを。
刑事贖罪寄付が決め手となって不起訴となることはある。
ただし、どの事件でも刑事贖罪寄付が確実に有効だとなるわけではない。
刑事事件を得意とする弁護士ならそのあたりのラインを見極められる。
示談できなくても過度に落ち込まないこと。
担当の弁護士が贖罪寄付を勧めてきたらこれに素直に従うのが吉。
刑事事件の示談交渉をご希望の方はこちらをご確認の上、法律相談予約をお申し込みください。




