2023年の受任事件のデータ整理を行って示談の成立割合を確認しました。
詳細は刑事専門サイトの方に記載してあるので、こちらでは概要のみお伝えします。
最新のデータ(2024年2月時点)において、
「示談が成立した件数/受任した刑事示談交渉事件の総数」
は約74.8%、
「示談が成立した件数/弁護士が被害者との交渉を開始できた事件の総数」
は約89.4%となっています。
2023年のお問い合わせ件数と受任件数は2022年比でそれぞれ
お問い合わせ件数:約178%
受任件数:約159%
となっておりかなりの伸び率を示しています。
お問い合わせや受任の数が順調に増えていることは大変喜ばしいことです。
その反面、
「示談困難が予想される事案でも相談者から『是非受けてほしい』と懇願されて受任した」
というケースも増えており、これが示談成立率の低下の一因ともなっているところがあります。
被害者が連絡先を開示せず交渉自体が始まらなかったケースの割合は、
2022年:約10.8%
2023年:約16.3%
と、約5.5%の増加となりました。
要因として、2023年は
・一人で複数(2~6人)の被害を発生させた加害者の事件が多かった
・淫行(青少年健全育成条例違反)の事件が多かった
というように、事案の性質上被害者が交渉自体を拒否する事案の受任が多かったところにあると考えられます。
弁護士が被害者やその代理人と話をすることはできたが示談が成立しなかったケースの割合は、
2022年:約6%
2023年:約10.6%
と、約4.6%の増加となっています。
どういったケースで示談がまとまらなかったのかということは
【最新の示談成立割合と分析】
である程度例示していますが、大半が
「被害者が相場・適正額を遥かに超える高額な解決金を要求してきた」
「被害者が事件と関係ない話(弁護士にはどうにもできない話)を持ち出してきた」
というものです。
なお、示談が成立しなかったケースであっても然るべき次善の策は打っています。
その結果、
「示談は不成立だったが不起訴になった・略式手続に留まった」
と依頼者にとって最大限有利な処分が実現されたケースが多数出ています。
2023年の受任事件全体の処分結果の分析データは以下のようになっています。
非事件化(警察の介入前に解決):9.75%
不起訴(起訴される事なく終了):70.74%
略式手続(罰金確定の書類処分):12.19%
公判請求(裁判所での刑事裁判):7.31%
以上、2023年の刑事示談交渉受任事件の分析データのご紹介でした。