「痴漢しましたよね!?」と言われたらどう行動するのが正解なのか。
よく候補に挙げられる対応は
①逃げる
②名刺を渡して立ち去る
③おとなしく警察署に行く
といったところでしょうか。
まず①は逃走を完遂させねば意味がありません。
相当な身体能力と体力が求められ、無数に存在する監視カメラをかいくぐる必要もあります。
到底現実的とは思えません。
逃亡の過程で被害者や通行人を怪我させたり線路に飛び降りて電車を停めたりすれば別の罪にも問われ巨額の賠償金が追加で乗ってくる可能性も。
逃亡を図ってホームから飛び降りた被疑者が死亡したケースもあります。
そして捕まったときは「やってないならなぜ逃げた」と言われ、本来は逮捕だけで済んだはずが勾留までされて社会的死の危険が高まる。
リスク高過ぎです。
次に②、その人のものかどうかもわからない名刺など受け取って犯人(らしき人)がその場を去ることを許す被害者などいるのでしょうか。
引き止められて結局①か③になるのがオチです。
しかもこの場合、本来なら被害者に知られずに済んだはずの勤務先を知られてしまうというオマケがついてきます。
というわけで消去法から③しかありません。
ポイントは「痴漢です!」と言われた時点で『周囲の乗客を巻き込むように触っていないことを理由とともに大声で告げる』ということ。
注目を集めて目撃者や真犯人が離散してしまうのを防ぐためです。
逃げる素振りを見せてはいけません。
逃げようとすると被害者や通行人は追いかけて捕まえようとします。
すると現行犯人逮捕が成立し、警察が来た時点で逮捕状態の引継となってしまいます。
やったやってないの言い争いに留まっていれば警察が来ても任意同行となる可能性が多少残るのです。
警察署に行った後は状況と展開次第です。
「故意ではないが当たったかもしれない」と示談交渉を試みるか、刑事裁判も視野に入れて否認の態度を貫くか。
弁護士とよく相談して決めてください。
以上は「触っていない」場合の対処法です。
本当に触った場合は余計な弁解も抵抗もせず素直に認めてください。
そうすれば逮捕されても一日二日の短期間で済みます。
そして示談をまとめれば前科多数というのでない限りまず不起訴となります。
その後は猛省して二度と痴漢などしないでください。
(『蒼生 2022年7月号』掲載記事)