弁護士コラム

〇〇専門弁護士

2022.02.07

今回は弁護士の専門性について。
実は六年前にも似た内容の記事を書いているのですが時の経過とともに弁護士業界も変化しています。
そのあたりも含めてお話をしてみたいと思います。

実は弁護士は「〇〇専門」と名乗ることができません。
その理由は、専門性を担保する仕組みがなく、勝手に「〇〇専門」と名乗ることで依頼者が「この弁護士は〇〇の専門家なんだ」と勘違いするのを防ぐ必要があるから、ということらしいです。
その一方で「離婚に強い」「相続の取扱いが多い」というのは主観による自己評価に過ぎないからOKとされています。
弁護士会のお偉いさん方はこんな訳の分からない理屈を真面目に議論しているんですね。

一般のお客さんからすると誰が何の専門家なのかわからないという事態はとても困ります。
普通は「自分が抱えている問題に詳しい弁護士に依頼したい」と考えますので。
弁護士会も最近になってようやくこういったニーズに応える必要があると考えるに至ったようです。
例えば私の所属する大阪弁護士会は二年ほど前から「分野別登録弁護士名簿」というものの稼働を始めました。
が、残念ながら使い勝手が悪く全く物の役に立っていません。

では専門性の高い弁護士を探すにはどうすればよいか。
実は「離婚専門弁護士」とか「刑事 弁護士」とかに地域名(例:大阪)を加えて検索すればそれで足ります。
「〇〇専門」と表示している事務所は出てこないはずですが、Googleは優秀なので要望に合いそうな、その分野に注力したHPを作っている法律事務所を紹介してくれるんですね。

ここ数年で専門性を高めた法律事務所が増えてきました。
特定分野の中の一部業務に特化した事務所も見られます。
例えば私の事務所は刑事示談交渉に力を入れ、今では受任事件の9割近くを占めるようになりました。
これはもう「刑事示談専門弁護士」と名乗ってもよいのではないかと思うのですが。

こんな風に弁護士を探して、あとは法律相談のときに疑問点を率直にぶつけてみてください。
本当にその分野に長じた弁護士であるなら淀みなく説得的な答えが返ってくるはずです。
ただ「先生は〇〇専門なんですか」と尋ねるのは避けた方がよいでしょう。
前述の奇妙なルールのことをくどくど説明される羽目になってしまいますので。

(『蒼生 2022年1月号』掲載記事)