弁護士の電話相談を希望する人は一定の割合で存在します。
一方、電話での法律相談に対応している法律事務所はほとんどありません。
なぜ、弁護士は電話での法律相談に消極的なのでしょうか。
電話相談に対応している法律事務所が少ない理由を以下に挙げてみます。
(1)電話相談はコストがかかる
法律相談に対応できるのは弁護士だけです。
弁護士資格を持たない事務員やパラリーガルは法律相談を実施できません。
時々弁護士会や地方自治体が無料電話相談を実施することがあります。
このときは電話相談用の弁護士を用意して電話口で待機させます。
担当弁護士は他の仕事をせず、電話の前で電話が鳴るのを待ちます。
そして、電話の有無にかかわらず、拘束時間に応じた日当が支払われます。
普通の事務所はこんな無駄なことはしません。
弁護士がやるべき仕事は他にいくらでもあるからです。
まともな電話法律相談の体制を取ると無駄なコストが発生するのです。
(2)受任に繋がらず弁護士側にメリットがない
最近は初回無料法律相談を行う法律事務所が増えています。
法テラスや役所での定期的な無料法律相談もあります。
弁護士が無料法律相談に対応するのは、それが事件受任に繋がる営業活動だからです。
同じ無料相談でも、電話相談と対面相談では異なっている点があります。
それは、悩みに対する相談者の切迫度や真剣さが全然違うということです。
端的に言って、電話相談を希望する人の相談内容は基本的に受任に繋がりません。
時間と手間を取られて利益は生み出さず、弁護士側のメリットに乏しいのです。
(3)電話相談では正確なアドバイスができない
法律相談では相談者が持参した資料にきちんと目を通すのが鉄則です。
相談者が口で説明した内容を鵜呑みにするようでは弁護士失格と言ってよいでしょう。
交渉でも訴訟でも物証が成否勝敗を左右するので、法律家は物としての証拠を重視します。
人間は見間違い、聞き間違い、記憶違い、言い間違いをします。
電話口で書面を読み上げたとしても、重要部分の説明を抜かすこともあります。
弁護士が資料を確認できない電話相談ではまともな法的アドバイスは期待できないのです。
他にもいくつか理由はありますが、大きなところとしてはこんなところです。
要するに、
①無料電話相談はコストがかかる割に、
②重要な悩みではなく受任に繋がらず、
③正確で適切なアドバイスができない。
だから無料電話相談を導入している法律事務所は少ないのです。
それでも、
「弁護士に(無料で)電話法律相談をしたい」
という方はいるでしょう。
そういう方はこの問題にどう対処すればよいのか。
少々長くなりましたので、この点は次回記事にて述べさせていただきます。