交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するだけで慰謝料額が大きく増額される、ということは、「なぜ弁護士に頼むと交通事故の示談金額が上がるのですか?」等でご説明しているとおりです。
では、具体的にどの程度の増額が見込まれるのでしょうか。
この点について、
「後遺障害の等級が上がって数百万円増額!」
ということを記載したHPはよく目にしますが、実際のところ、こういうのは非常に稀なケースです。
当事務所で扱ってきた交通事故事件の類型として多いのは、
・症状名は「頚椎・腰椎捻挫」「打撲」等。
・症状固定までの通院期間は約半年、通院頻度は週1日~3日程度。
・頭痛腰痛、末端の痺れ、関節の動かしにくさといった症状が残存。
といったものです。
これらの「よく見られるケース」について、慰謝料がどの程度増額されたのか、ご紹介します。
【ケース1】
年齢性別:30代女性
病 名:腰椎・関節捻挫、打撲、皮下血腫等
通院期間:5ヶ月半
通院日数:52日
後遺障害:非該当
弁特利用:あり
損害賠償:保険会社提示額⇒最終的な和解金額
治療費等 286,890円⇒286,890円(±0円)
入通院費 145,920円⇒145,920円(±0円)
休業損害 296,400円⇒512,373円(+215,973円)
慰謝料額 436,800円⇒737,627円(+300,827円)
合計金額 1,166,010円⇒1,682,810円(+516,800円)
【ケース2】
年齢性別:20代男性
病 名:頚椎捻挫、打撲等
通院期間:6ヶ月半
通院日数:93日
後遺障害:非該当
弁特利用:あり
損害賠償:保険会社提示額⇒最終的な和解金額
治療費等 705,550円⇒705,550円(±0円)
入通院費 34,956円⇒34,956円(±0円)
慰謝料額 459,494円⇒895,000円(+435,506円)
合計金額 1,200,000円⇒1,635,506円(+435,506円)
このように、「よく見られるケース」、つまり「多くの交通事故被害者に該当する、さほど症状が重くないケース」であっても、弁護士が間に入って示談交渉を受任するだけで40~50万円ほどの増額利益が見込まれます。
上のケースはいずれも弁護士費用特約(弁特)を利用したケースであるため、増額分がそのまま依頼者の利益となっています。
弁特を利用しなかった場合で試算すると、依頼者の利益は10~20万円程度となります。
交渉に要した期間は、相談や受任の時期にもよりますが、症状固定または受任のときから2~3か月程度がほとんどです。
以上をまとめると、
「よくあるさほど症状が重くないケースでも、弁護士に保険会社との示談交渉を依頼すれば、弁特を利用できるなら40~50万円、弁特を利用できないなら10~20万円程度、依頼者は得をすることになる。」
ということになります。
これをどう思うかはその人の価値判断次第ですが、多少の時間は必要になるものの、少し待つだけで数十万円の利益を得られるということは、十分検討に値するのではないかと思います。