何か紛争が生じて、それが解決に至ったとき。
解決のための約束事を文書の形で残すことがあります。
そこで作られる文書のタイトルとして、
「示談書」「合意書」「和解書」
といったものありますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
先に結論を述べてしまいますと、
「(少なくとも法律上は)大した違いはない」
ということになります。
ウェブ上で、
「『示談』とは〇〇することである。これに対して『和解』とは××することで、『合意』は△△である」
などともっともらしい記事を見かけることもありますが、所詮は辞書的な定義文言の違いです。
書面のタイトルが『和解書』であるのか『示談書』であるのかによって何か差異が生じたりはしません。
大事なのは「どんな条項が記載されているのか」、つまり取決めの中身です。
例えば、痴漢の刑事事件に関する取り決め、賠償金の支払いや被害届の取下げについて記載された書面があったとします。
その表題部分が『建物賃貸借契約書』になっていたからといって、その書面に記載された取決めが全部無効になるとか、「これは実は賃貸マンションに関する書面なのだ」となるとかいうことはない、という極めて常識的な話です。
当事務所では、刑事事件の示談交渉がまとまったときに作成する書面のタイトルは『合意書』としています。
別に深い意味があるわけではありません。
「『示談書』という表題は弁護士が作成する書面としては何となく俗っぽい感じがして個人的に嫌だ」
とか、
「『和解書』だと「加害者と仲直りするわけではないのだから『和解』はしない」と言う被害者が稀にいるから」
とか、その程度の理由です。
ごく稀に示談交渉の相手方である被害者から
「タイトルを『示談書』に替えてほしい、そうでなければ示談しない!」
と言われることがありますが、そういうときは
「あぁ、わかりました。ではそれでいいです」
とあっさり応諾します。
こう答えると怪訝な反応をされることもありますが、タイトルなど変えてもこちらには何のデメリットもないので、被害者がそれで納得してくれるなら問題は何もない、ということです。
繰り返しとなりますが、大事なのはタイトルではなく、具体的な取り決めの内容です。
時々、弁護士を入れずに当事者同士で適当な示談を進めてしまい、後になって
「示談金を払ったのに被害者が示談書を作成してくれず、警察に示談書を提出できない」
「示談書を取り交わしたのに追加の慰謝料を請求された」
と当事務所に相談に来られる方がいます。
弁護士が弁護士費用をいただいて示談交渉や合意書作成をするのにはちゃんとした理由があります。
暴行、窃盗、性犯罪等の問題を起こしてしまったときは自分で解決しようとせず、まずは弁護士に相談してください。
士道法律事務所では、初回1時間の無料法律相談を実施しています。
また、他の法律事務所と異なり、刑事事件の示談交渉だけを
着手金11万0000円~22万0000(税込)
というご利用しやすい料金でお受けするプランをご用意しています。
刑事事件の示談交渉を考えている方は、【お問い合わせ】からお気軽にお問い合わせください。