今回は、弁護士に事件を依頼する際に依頼者側が気を付けるべき点を見ていきます。
①常識的な態度で相談する
例えば、医者は正当な理由がなければ診察治療を拒めません。
しかし、弁護士にはそのような決まりはなく、弁護士は修習・新人時代に先輩から、「トラブルになりそうな客の依頼は絶対に受けるな」と耳にタコができるほど言われて育ちます。
まともな弁護士なら厄介な客の依頼は断りますし、受任後でもきな臭さを感じたら辞任します。
別に下手に出る必要はありませんが、感情的になったり、自分の要望ばかり述べたり、無茶な値切り方をしたりしていると、事件を受けてくれるのはタチの悪い弁護士だけ、ということになりかねません。
②事件解決に協力する
弁護士は「代理人」です。
本人に代わって法的主張を行う者なので、本人の協力なしには何もできません。
弁護士に事件を依頼すれば後は勝手に処理してくれるというものではなく、証拠の収集や事案の説明等は本人にきちんとしてもらわなければなりません。
弁護士の協力要請を無視していると、その分解決が遅れたり、必要な証拠がそろわず事件が不利に展開したりすることになります。
③弁護士に嘘をつかない
自分に不利な事実を隠したり、弁護士に嘘をついたりする依頼者がたまにいます。
依頼者が本当のことを言わないと、弁護士は誤った事実に基づいて戦術が組み上げていかざるを得ません。
前提が間違っているわけですから、最後は土台が崩れて、本来避けられたはずの損害を無駄に負うことになります。
依頼者に不利な事実があったとしても、弁護士がそのことを知っていればいくらでも手の打ちようはあるので、事件に関することは包み隠さず、正直に正確に伝えることを心掛けてください。
弁護士との契約(委任契約)は信頼関係を基礎に置く契約とされており、弁護士は依頼者の人柄を注意深く観察しています。
と言っても難しく考える必要はなく、一般常識に従って行動していれば何ら問題はありません。
信頼できる弁護士を選び、信頼されるような行動を取っていれば、依頼した事件も自然と良い方向に進んで解決するはずです。
(『蒼生 7月号』掲載記事)